第74話 いや…うん…

 GW…忙しかった。

 ラストの1日は休むつもりでいた。

 元々、休日にしていたのだ。


「流石に、明日は減りますね…」

「そりゃそうでしょ、馬鹿がやっと家に帰るって、明日でGW終わりだからね」

「そうだよね~、忙しかったよね~」

「日本人も馬鹿ばっかなんだよね」


 朝の段階では一安心していたのだ。

 そう甘かった…

「当日予約…結構入っちゃった…」

 結局、満室だ。

 なんで?


 そう…甘かったのだ。

 これだけ、毎日、客を馬鹿馬鹿言っておきながら失念していた。

 バカを相手にしているということを失念していたのだ。

 バカは…ブルーワーカーが多い…そう、非正規とかブルーワーカーはGWが長いのだ。

 特に今年は…。

 自分がカレンダー通りだから、完全に失念していた。


 彼らは、まだまだ、お休みなのである。

 国から自粛される以前に会社から自粛させられているわけだ。


「お疲れ様でした」

「桜雪さん、明日来る?」

「いえ…私、休日なんです」

「えっ? 困る」

「いや…えっ?」

「何も言われてないの?来れるとか?」

「特に…聞かれてはいないのですが…」


 なんだろう…自分から忙しそうだから来ましょうか?

 とか…なんかバイトの分際で勘違いしてんじゃねぇよ‼

 とか…ならないだろうか?


「桜雪さん、一応、リーダーに確認してきて」

「うん…いいんだけどさ」


「あの~明日…出ましょうか?」

 リーダーのおばちゃん、ニッコリ笑って

「お願いできる?」

「あぁ…いいですよ…」


 副業とはいえ…自由にはならないんだよな~。

 僕もバイトではブルーワーカーだし…まぁいいか。


 来なくていいよと言われるよりはマシだと思うことにしよう。

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