02.はじまり

私と彼の闘いが始まったのは

17歳の冬。





私、佐久田 陽(さくたひかり)が

高校2年生の時、熱狂的にファンだった

サッカー観戦に行った時のことだった。


スタジアムに向かう途中、

私を嫌っている女子3人組が

サポーターの格好をして前を歩くのが

目に入った。


彼女達に気づかれないように

後ろの方を歩いいたのだが

気づかれてしまった。



"え、佐久田さんじゃない?"

"なんであの子がいるの?"

"サッカー観戦な子じゃないじゃない"


という声が聞こえた。

私はサッカー観戦を唯一の楽しみに

毎日辛い高校生活を耐えているのに

まさか、ここで彼女たちに会い

こんな目に会うなんて思っても居なかった。



辛くて、私はスタジアム向かうのをやめた。



その帰り道、電車を待っていると、


"さっき、かなりの言われようだったな"

そう声をかけてきた人がいた。

振り返ると1人の同年代の男の子が立っていた。


彼は、私が応援しているチームの対戦相手の

ユニフォームを着ていた。

知らない人に声をかけられ恐怖を覚えた。


彼は私の後ろの方を歩いていたようで

かなり嫌味を言っていたのが

私に向けてだと気づき、気になって

見ていたそうだ。

そして、言われ続けた後、

道を切り返して帰っていく私を追ってきたらしい。


彼と電車に乗り、

1つ先の駅で降りてカフェまで付き合わされた。

この時は、ただただ面倒な人だな、

見ず知らずの人のことなんて

放っておけばいいのに、

なんて思っていたほど彼に関心がなかった。


その後、彼的に話が楽しかったらしく

LINEを交換したいと言われたので

断りきれず、交換をした。



これが、私と彼の始まりだった。




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