第114話

「で、他の子達は何か浮いた話しとかないの?」


母さんはそう他のメンバーに聞く。

さて、次の犠牲者は誰かな?


「私は当分恋愛はいいです」


「私も特に何も無いですね」


奈緒と木下さんが言った。


「うちの子は快人くんのことが好きだったみたいですから当分は無理でしょうね」


おい、奈緒母!余計なことを言わないでくれ!この話しを誰かが拾っても俺は何も言えないぞ!


「もう、お母さん!」


「そ、それはなんと言いますか、奈緒ちゃん頑張って!」


このことにはあまり突っ込まない方がいいと判断した母さんが意味のわからない応援をしてこの話しを流す。

俺は心からよくやったと思った。


「で、最後のタクくんはどうなの?」


と母さんがこの話題が出た時から机に突っ伏し唸っているタクに聞く。


「母さん、あんまり聞いてやるな。

あの感じで何となく分かるだろ?」


「あ、ごめんなさいタクくん。

そんなに落ち込まなくてもこの先いい事あるわよ!」


俺の言葉を聞いた母さんは慌ててタクを励ます、


「うわぁぁぁ!

何で俺だけこんなにモテないんだー!

そんな励まされても逆に虚しくなるだけだー!」


タクはそう叫びながら机をドンドンと叩く。


「おい、ドンドンするな。

机が壊れたらどうする」


俺は泣きそうな顔のタクに冷静に注意する。


「ほんとにねー。

快人くん、ジンくんうちの子にいい子紹介してくれない?」


「んー、それは難しいかもしれないですね」


「そうだな」


俺とジンは少し考えた後に答える。


「え?

なんで?」


俺はともかくイケメンでモテモテのジンにも難しいと言われタクの母親は少し落ち込んだ感じで聞いてくる。


「いや、タクの性格が悪いとかそんな事じゃないんです。

その逆でタクは社交性があって男女問わず友達が多いのですよ。恥ずかしながらそれに比べて私はあんまり友達がいないんですよね。女友達はここにいるメンバーだけです。女性の知りあいはいますが紹介できるほど仲良くもないんです」


「俺もそんな感じです。

それに自分で言うのもアレですが俺の周りに寄ってくる女性って多かれ少なかれ俺にに好意を持っている人が多いのでそんな女性タクには紹介できませんしね」


と俺とジンがタクの母親に説明する。


「なるほどねー。

勘違いしてごめんなさい。

それにしても何であんたは友達はいっぱいいるのに彼女は一人もできないのよ」


「俺が聞きたいよ!」


タクの母親の言葉にタクが発した大声のツッコミが部屋中に響いた。

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