第90話【監視カメラ】

「お邪魔します」


沙耶がそう言ってリビングに入ってきた。


「沙耶か、大丈夫だったか?」


もう沙耶はインターホンも鳴らさなくなってきたのか。

まあ、いいけど。


「うん、誰かに見られてる感じもしたし何か小声で言われてる感じもしたけど直接何かされたってことはないから全然大丈夫だよ」


「それは大丈夫の部類に入るのか?」


「沙耶ちゃんそれは大丈夫の部類に入らないのよ。

まあ、出来だけ早くどうにかするから少し我慢しててね」


「お義母さん、ありがとうございます」


「じゃあ、私は色々しなければいけないことあるから行ってくるわね」


「「「いってらっしゃい」」」


「いってきます」


そして母さんは車に乗ってどこかに行ってしまった。


「カエデ、今日は学校に一緒に行こうか。

何かあったら困るし」


「うん、仕方ないよね。

琴音も一緒になるかもだけどいい?」


「いや、琴音ちゃんを巻き込むことになりかねないから、一人で行ってもらうか、他の人と行ってもらった方がい良くないか?」


「それもそうだね。

ちょっとメッセージ送ってみるよ」


「おう」


「お、返信が帰ってきた」


「はや!

携帯の前で待機でもしてたのか!?」


「なになに、友達が大変な目に合ってるのに私だけ安全なところにいるのは嫌なので今日もいつも通り一緒に行きますだって。

どうする?」


「琴音ちゃんが決めたことならいいんじゃないか?

それにしてもいい友達を持ったな」


「えっへん!」


それから登校時間まで、ゆっくり過ごした。


「お兄ちゃん、沙耶さんそろそろ行こ。

琴音もそろそろウチに着くって」


「わかった」


「了解」


カシャ!


家を出た瞬間に知らない男に写真を撮られた。


「何やってんだよ!

言っとくけどこの監視カメラ動いてるからな?」


そう言って俺が玄関の上側に着いている監視カメラを指さした。


その途端、写真を取った男の顔が真っ青になり走って逃げて行った。


「逃げるならやらなきゃいいのに。

それで快人くん。

あの監視カメラって本当に動いてるの?」


監視カメラのことが気になったのか沙耶が俺に聞いてくる。


「ああ、本当に動いているらしいぞ。

俺は見方知らないけどな」


「へぇー」


沙耶はそう言いながら監視カメラをジロジロと見ている。


「もういいだろ。

そろそろ行くぞ」


「あ、うん。

行く」


「琴音ちゃん、お待たせ、行こうか」


「はい」


そう言って俺達、四人は学校へ向かった。

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