第40話【エプロン姿】

買い物が終わり、松本家に来た。


「美陽さん、この荷物どこに置きますか?」


俺は両手に持った食材などが入ったレジ袋を持ち上げて聞く。


「運んでくれてありがとう。

キッチンに置いておいて、出したりするのは私と沙耶がやるから」


「了解です」


レジ袋をキッチンに置き背伸びをする。

結構重かったので腰が痛い。


「快人くん。ありがとう!

やっぱり男手があると助かるね!」


そう言って沙耶が軽く肩を叩いてくれる。


「まあ、このぐらいはな。

料理の方は期待してるぞ」


「任せてよ!

絶対に快人くんの胃袋を掴んでみせるよ!」


沙耶はそう言って胸を張る。


そんな事されると沙耶のまあまあデカい胸が強調されて目のやり場に困る。


「あれ?

快人くんそんな赤い顔してどうしたの?」


「いや、何もないよ?」


「?

まあ、いいか。

今から作り始めるから快人くん達はソファーに座ってテレビでも見ててよ」


「了解」


俺は沙耶に言われた通りソファーに座る。


ソファーにはもうすでに母さんとカエデが座ってぐでぐてしていて、テレビはカエデがつけたであろうバラエティー番組が流れていた。


「なあ、カエデよ」


「なんだいお兄ちゃんよ?」


「テレビのチャンネル変えてよろしいかの?」


「ダメじゃ、見ておろう」


「いや見てないだろ!」


「うん、見てないからいいよー」


何だよこの意味のない会話は。


そんなことを考えながらテレビのチャンネルを変えていく。


トントントン


後ろのキッチンからはまな板の上で何かを切っている音がする。


後ろで沙耶と美陽さんが料理してるのか。


気になった俺は振り返りキッチンの方に目をやる。


「なに?」


エプロン姿の沙耶が俺に気づいて聞いてくる。


「いや、エプロン姿ってなんかいいなぁーって思って見てただけ」


「え?

そう?

もっと見ていいだよ!」


そう言って俺の近くに来てくるくる回る。


「うん、可愛いよ。

でも、ちゃんと料理してる姿が見たいかな」


「おっけー!

頑張ってくるから見ててね!」


沙耶はキッチンに戻りトントントンと食材を切っていく。


うん。

やっぱりエプロン姿の沙耶はとても可愛い。


この姿を見たいと思っている男子が腐るほどいる中で、俺だけが見ているという優越感に浸りながらボッーと沙耶を眺める。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る