第32話【リビング】

それから松本さんの家のリビングに通された。


松本家のリビングは、物もあまり多くなく綺麗に片付いていた。


「意外に片付いているのね。

まっちゃんのことだからもう少し散らかってると思ってたわ」


母さんがとても失礼なことを言う。


「お母さん失礼だよ」


母さんの言葉をカエデが注意する。


「いいのよ、佐藤さんが言ってることは合ってるもの。

掃除は沙耶がやってくれるから綺麗なままなのよ。

私は掃除苦手なの」


「へぇーそうなんですか。

松本さんは掃除も出来るんだね」


「そうなのよ!

沙耶は、掃除、洗濯、料理何でもござれなのよ!

快人くんとても優良物件だと思うのだけど、どう?」


美陽さんがグイグイ押してくる。


「はははっ。

そうですね」


俺は、それを流すことしか出来なかった。


「お母さん!

恥ずかしいよ!」


松本さんが顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。


何度も言うが、可愛い!


「それはそうと、快人くん。

松本さんじゃどっちのことかわからないよ」


「え、でも美陽さんて呼んでますよね」


「沙耶のことも沙耶って呼んでくれないとわからなぁーい」


本当にこの人自分の娘をグイグイ押してくるな。

いい人なんだろうけど、ちょっとウザイかも。


「はぁ、わかりましたよ。

さ、沙耶」


やばい、恥ずかしい!

多分だが顔が茹でダコの如く赤くなっていることだろう。


「は、はい!」


松本さんもとい、沙耶も顔を赤くしている。


俺達二人が顔を赤くして黙っているのを母さん、美陽さん、カエデの三人がニヤニヤと見ている。


「もういいだろ!

さっさと行こうぜ」


俺がその空気に耐えられなくなり早く昼飯に行こうと提案する。


「え?どこ行くの?」


そう言えばこのことも伝わってないんだった。


「あ、まっちゃん、ごめん!

これも言うの忘れてた!

このあと暇?

暇だったら昼食を何処かに食べに行かない?」


「暇だからいいですけど。

着替えとか化粧とかあるので待っててもらっていいですか?」


「うん、ここで待ってるわね」


こっちがいきなり言ったことなので、そのぐらいは仕方ない。


「じゃあ、沙耶、後はお願い。

お菓子でもお茶でも好きにしてね」


「は〜い」


そうして美陽さんは自室?の方へと歩いて行き、俺達は適当なところに座り、くつろぎ体勢に入った。

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