第28話【頬っぺツンツン】

ピピピピッ!


目覚ましの音が部屋中に響いた。


「ん〜んっ〜」


俺は、手を伸ばして目覚まし時計を右手で止めた。


「はぁー、朝か。

ん?

今俺じゃない声が聞こえなかったか?

それにこの柔らかい感触はなんだ?」


俺は、目覚ましを止めた方と逆の手に柔らかい感触があるのを感じた。


俺はなんだろう?と思い眠たい目を無理やり開けて左側を見た。


「うわぁ!」


そこには、スヤスヤ眠っている松本さんの姿があった。


「ん〜、うるさいよ〜。

もう朝〜?」


俺はめちゃくちゃ混乱していた。


確かに昨日の夜は一人で寝たはずだ、なのに朝になると隣には松本さんかいる。


なぜ?


「な、何で松本さんが俺のベットにいるんだよ!」


「あ、快人くん。

おはよう」


「あ、おはよう。

じゃなくて!」


「何でって、快人くんが私を離してくれなかったからじゃない」


「は?」


全く俺の記憶にはございませんが?


「夜の四時ぐらいにおトイレに起きて、その帰りにちょっとした出来心で快人くんの寝顔を眺めようと快人くんの部屋に入ったの」


何が出来心だ!


「快人くんの寝顔が可愛くて頬っぺをツンツンして遊んでたら快人くんに手を掴まれてベットに入れらてたの」


まじ?

俺何やってんの?


「それから、抱きつかれて、いろんなところ触られて、抵抗しても抱き枕みたいにして離してくれないし」


「ご、ごめんなさい」


俺、松本さんのいろんなところ触ったのか!

何故俺は何も覚えていない!

頑張れ俺!

何か少しでもいい、思い出せ!


「まぁ、快人くんだしいいかな?

ってことで私も快人くんに抱きついて寝ることにしたの」


「そこ!

可笑しいだろ!

ってか本当に抵抗したのかよ!

信じられなくなってきたぞ!」


「ん?

抵抗したよ、頬っぺをツンツンして」


「それは、抵抗じゃない!」


「いいじゃない。

私の感触を楽しめたでしょ?」


松本さんがいたずら笑顔で言う。


「覚えてない!

何でだ!

何で俺は覚えてないんだ!」


俺はマジで泣きそうになりながらそう叫んだ。


「いや、マジで泣きそうに言わないでよ。

じゃあ、とりあえず一回抱き合う?」


「え?いいの?」


松本さんは手を広げて俺を待つ。


「ゴクッ」


俺が恐る恐る松本さんに近ずいて触れそうになったところで


コンコン!


とノックの音がなった。


俺達は、その音に驚きすぐに離れた。

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