第156話 反骨精神?

「朝メシ食ってきちゃったんですよ」

「そりゃ、不味いだろ…胃の検査あるんだよ」

 健康診断当日の朝である。

 同じ会社の同僚、食ってきちゃったらしい。

「なんですよね」

「オマエ、そりゃ反骨精神ってヤツ?」

「忘れてたんですよね~」


 かと思えば、

「視力1.5もあるの?」

「あるよ、眼鏡かければという条件で」

 僕の視力は今年1.5だった。

 裸眼は知らないが…。

「オーバースペックだろ、ソレ」

「いや1.5は標準」

「標準は1.0だって、充分だって1.0あれば、アフリカで狩りするんじゃないんだよ」

「アフリカの狩りは1.5じゃ足りねぇ」

「俺は勘で1.0だよ」

「勘はダメでしょ、誰も得しないから健康診断を勘で乗り切っても、僕は右耳の高音聴こえなかったくらいですからね」

「俺も聴こえないけど、適当に返事したよ」


 どうも社内の健康診断に対する心構えは反抗的なのかもしれない。

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