第20話 天才の軌跡

 ダリの画集を買った。

 何冊か持っているが、また買った。

「天才って、こういう人の事だよ…」

 何度見ても飽きない。


 子供の頃にグニャリとした時計を見て衝撃を受けた。

 時計とは正確な時刻を知るための物だ。

 自身の作品に描くとしたら、普遍的な正確さを表現するために描くであろう…。

 ところがダリは真逆の描き方をしてみせた。

 歪ませることで、世界を広げたのだ。


 とかく奇抜な絵がダリの象徴とされるが、その歪みは、彼の超人的なデッサン力在りきなのだ。

 写実的に描こうと思えば描けるのだ。


 本人のビジュアル、生き様、作品、その全てがダリという芸術だと思える。


 私が『天才』だと思っている人の1人がダリである。

 この画集を見ている時間が幸せだ…。


 そして、その画集の上で寝転ぶ猫よ…退いてくれ。

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