第311話―比翼連理―

澄み渡る空はすっかりほのかな夕焼けへと変わる。

買い物や本屋にゆっくりした帰り道に偶然にも冬雅と出くわした。一緒にいる時間が減ったからか、冬雅と一緒に歩くだけで胸を踊る自分がいる。


「お兄ちゃん何かありましたか?」


「えっ!?いや、何もないはずだけど。違和感とかあった?」


怪訝に首を傾げる冬雅に、ちょっと舞い上がっている俺に気づいたのかと動揺が走ってしまい慌てて応えた。


「ううん。わたしの気のせいだと思うんですけど、お兄ちゃん

嬉しそうって言うのか…あっ!

もしかして真奈が待っているから?」


2番目の指を立てて名推理と言わんばかりな表情。

そんな検討違いに俺は心の中で安堵をしてその迷推理に敢えて乗ってみることにした。


「ああ、恐れいったよ。

さすがは名探偵…冬雅」


「えへへ。それほどでもないよ」


ほぼ冗談なのだけど、そんな苦しい紛れの話題を変えれて2度目の安堵をする。


「勉強の休憩にシャーロック・ホームズを読んでいるんですけど

推理をしたくなったのでしょうか?」


いや、俺に訊かれても分からないんだが。返答に数秒ほど困った

がシャーロック・ホームズを

読んでいるのかと俺の興味はそこへ傾き楽しそうに語る冬雅。

様々な通行人は、援助交際など胡乱うろんな目で向けられるが思ったよりも気にしていない。

…いや、冬雅にそう見られるのが不快だと少しは思っている。


「お、お兄ちゃん!?あそこを見て」


「んっ?何か…あった……のか―」


前方を指を突きつける方角に見ると知らない制服しているが比翼

の姿が。

後ろ姿ウェーブがかった長い黒髪、距離は20メートル、道端で佇んでいる。


「お、お兄ちゃん比翼だよ!」


「……ああ。会いに行こう!」


冬雅まで比翼と言うのなら疑いなく比翼に違いない。万感胸に迫るまま従い冬雅は走る。その後ろを

俺も走って追いかける。


「比翼ぉぉーーー!!」


「こ、この声って…

ふ、冬雅おねぇちやん!?」


「うわあぁー会えて嬉しいよぉ」


「わあぁー!?会えて嬉しいのは、わたしもそうだけど落ち着いて。

ねぇ冬雅おねぇちやん」


目の前で号泣する姉を優しく宥めようとする…立場が逆じゃないのかな?

冬雅らしい反応に俺は小さく嘆息して比翼に声を掛ける。


「比翼。また会えて嬉しいよ」


「おにいちゃん…」


「まぁ、詳しい話は場所を変えて」


近くの小さな公園に二人にさせて俺は一旦いったん、帰宅して真奈に事情を説明をする。


「お、お兄さん早く行きましょう」


感動が押し寄せた真奈を連れて二人にしている公園へ向かう。

後で三好さんと香音と不死川さんと移山に知らせないとなぁ。

たどり着くと秋の夕焼ゆうやけで照られされる公園。

絵になる彼女達は頬を涙で濡らしていて近づくのを躊躇うものだった。

後ろにいる真奈も俺と同じなのかもしれないと考えると比翼が俺達に気づいた。


「短いようで長くて、久しぶりって言うのかな?真奈おねえちゃん」


「うん。懐かしい心がそう言うなら、それが答えだよ…比翼」


哲学的な返事をして真奈は比翼に歩み寄る。思いもしなかった再会と三者三様な喜びを表現をする

彼女達を静観して俺は頬を緩めた。

曖昧を言葉が交わり、それから。


「会えて嬉しいのはこの辺にしてと、おにいちゃんとおねえちゃんなんなのあれは!?」


「「「あれ?」」」


批判の声に思い当たりがない俺達は異口同音。怪訝にしていると

比翼は口を魚のようにパクパクと

動かして声を唸り何かを言おうとする。

まだ充血したような赤い目には潤っていて頬には新しい羞恥が重ねる。


「恥ずかしいならお姉ちゃん席を外した方が良さそう?」


「顔が赤いけど熱でも引いてしまっていない比翼」


告白なのか察した冬雅は離れようと優しく問いかけて、真奈は

熱ではなかいかと天然すぎる発言。

俺の見解は親しい人に対しての感謝。


「……ど、どう、」


まだ羞恥で言葉を発するのが難しい比翼。十中八九これは俺の見解が正解だろう。俺も似たような

状況があったものだ。結果は

散々なものだが比翼は俺と違う。


「うん。ここで言うんだねぇ。

お姉ちゃん見守るよ」


「冬雅なんだか勘違いしていない?

熱があるのかもしれないのに?」


「真奈たぶん熱ではないと思うが」


「ふふっ、何か分かったんですねぇ!」


ツッコミをしたら勝手にすべてを理解したのだと解釈されました。

うーん、もうこれ以上のツッコミはしないでおこう。

舞い上がっていつに増して天然が掛かっている真奈を。


「ど……動画を見たんだけど。

なんなんですかアレは!?

イチャイチャしたゲーム実況は!

わたしがいない間に一線を超えていないか心配したよ!」


そ、そうか。なるほど確かに振り返ればそんな大地が裂け闇が星を覆うような混沌とした実況していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る