第304話―戸惑う。こんなに静かなのかと―
居室が漂うは
今日の出来事を掻い摘んで説明を終えて真奈は嘆息するように返事。
「そう…なんだ。お兄さんそれで遅くなって落ち込んでいたんだねぇ」
探している間に手紙を読んでいた真奈に椅子に座り手を繋ぎ無言。少しだけ気持ちが軽くなり掻い摘んで説明をするとそう返事をする真奈。
「いや、俺は落ち込んでいない!寂しくないと言えば嘘になるけど比翼が…選んだ事なんだ。
ずっと、このまま
「児童養護施設に入るんだろうねぇ、きっと」
「ああ。この時期だと何かと難しいだろうけど、ここにいるよりも健康でいられるはずなんだ」
「お兄さん無理しなくてもいいよ。ワタシの前では強い姿を見せなくても。
比翼としっかり別れを告げたかったよワタシは」
「真奈・・・・・俺も、言葉にして納得は出来ずにもやもやとした別れをしたかった」
真奈の前では弱音を見せないと決めていた。
JKの前で俺は何を本音になっているのか。少しは大人らしい態度で真奈を安心させたいのに情けない事に、あれから一緒になって極まった悲しみに暮れるなんて。
真奈に思いを吐いた事で喉に引っかかるような気持ちは晴れて清々しくなるが真奈は少し気持ちが晴れただろうか?
「・・・言葉にすると少し楽になつまたかな。お兄さん今日はワタシ帰りたくないかな?」
真奈は顔を伏して耳まで赤く染まってそう言った。どういう意味なのかは反応で…誤解しそうになるが喧嘩でもしたのだろうか。
「え?えーと、何かあったのかい。両親と意見の相違とか争って気まずいとか」
デリケートな部分かなと変に気遣ってしまったせいか迂遠な問いになってしまった。コインを
変な比喩表現になっているなぁ。 落ち着こう。いったん落ち着こう。帰りたくない効果がここに来てくるとは。
「その…お兄さん冬雅や比翼も家にいなくて寂しそうだと思って」
「俺は子供かああぁぁぁ―!!?」
十歳も年下のJKさんからそう思われたら終わりだ。つい立ち上がり絶叫をするとビクッと真奈はしたが「フフ」と控えめな笑みを零す。まぁ、笑いを取ろうと半分は狙ったからね。逆にもう半分は反論も含まれているが。
照明器具に照らされるリビングのドアがガチャと開き振り返る。
「じゃあ真奈が泊まる記念にそろそろ作ってくれないか晩ごはん?」
移山はすっかり空腹から来る思考よって従い催促に入ってきた。
「どうして泊まると知って?」
「兄者は知らないようだけど真奈が俺にそう頼みにきたんだよ。
お兄さんの部屋に泊まれるように――」
「わぁー!?わあぁーー!!?
それは言わない約束したじゃないですか」
「知らない、忘れたそんな昔の事は」
真奈の抗議に対して弟は腕を頭の後ろに組んで口笛を吹く。
そんな懸念は無駄な心配と食事で悟るのだった。俺の学生時代(高校生時代なので厳密は生徒だが)を移山は真奈に語る。止めようにも二人は聞く耳を持たず。
俺の人権は失った。
そして翌日、夜を払う光に開いた目をぼんやり見てから布団から立ち上がる。ベッドには真奈が気持ちよさそうに眠っている。
「うぅーん…お兄さん」
(なんだか見てはいけないものを見てしまった!?)
同じ部屋の中、俺は机に近い布団を敷いて真奈はベッドの上。
お互いそうして寝ていたが真奈の夢を見ている断片的な声を聞いてしまった。
一体どんな夢を見ているのやら。
俺は部屋を出ようとする足を脳に
踵を返して俺は本能的に向かう。
カーテンを開けてバルコニーに出ると案の定と言うのか冬雅がすぐ前に同じ材質、サイズのベランダの上で待っていた。
「わたしの祈りが、お兄ちゃんに届いて嬉しいです」
つややかな長い髪を30度ほど舞い上がりクマの動物寝間着まま屈託のない笑顔の威力は凄まじいものだった。
「メルヘンチックで申し訳ところだけど俺は読心術は無いからそんなことはないよ」
「えへへ。どうでしょうか?
お兄ちゃん恥ずかしくなると
「韜晦スキルって、多種多様なネトゲでもそんなスキルは無いだろうな。
おはよう冬雅」
「おはようございます、お兄ちゃん。初めて先に挨拶をされてしまいました。えへへ」
それだけなのに冬雅は嬉しそうに幸せを噛み締めるように笑う。
ベランダでの逢瀬にときめいているのかもしれない。
そんな多幸感を俺は破壊をしなければならない。
「冬雅、聞いてほしい話があるんだ。比翼が置き手紙を残して出て行ってしまったんだ」
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