第292話―JKとお風呂に入ることになった。なぜこうなった其の2―
今日は稀有な一日だった。
冬雅が日課とされる告白はあったたけど挨拶するように言っただけで、お互いに変化はなく平和的な日常会話が続いた。
そう思ったのは夜までだった。
・・・短い平穏は終焉を迎えた。
「お兄ちゃんたまには一緒にお風呂とか入りましょう!」
湯沸かし器から風呂が沸いたとアナウンスが流れたタイミングで
コンビニに行ってくる緩い感覚で言ってきた。
聞き間違いだろうと思いスルーしていたが2度目となれば現実なのだろう。でも確認しておこう。
「・・・もしかして一緒に入浴って聞こえたけど」
「はい!身体を動かして汗でびっしょりですし。待っているよりも一緒に入った方が効率的ですし。
お兄ちゃんと関係を進める大事ですから」
恥ずかしくなってか論理的な説明ではなく感情的で素直な願望。
確かに運動不足解消とダイエットでリビングで筋トレなどして汗が滝のように出ている。
「普通に寛いでいるだけで進んでいると思うけど」
「そうですねぇ。一理はありますけど、もっと恋人みたいな事をしたいです」
それが入浴か。いや恋人でもしない人もいると思うが冬雅はそれで納得してくれないだろうなぁ。
「一応だけど別の方法をやろうとしたら何か聞いても?」
「別の方法ですか?」
首を傾けてかわいい仕草をする。
説明足らずで上手く伝えられなかった。
「ここで断ったら次の方法を何をするのかですか・・・・・そ、そうですねぇ。
愛を囁いてハグとか、こっそり添い寝して腕を回して強く抱きつく」
そんなにハグしたいのか。そんな唐突でイチャつきたい気持ちは冬雅らしい。
その気持ちは少なからず俺もあるけど、そんな行為をしたら完全で疑いなき淫行に抵触する行為だろうし、そんな事にはしたくない気持ちが強く勝っている。
それが純愛だろうがバレないとかでも。
「それは正式的な恋人になってからで。今はそこまで進みめたくないんだ。
なんだか俺がヘタレで申し訳ないけど」
「いえ、そんなことはないよ。
ですよねぇ本物の恋人になってからですよねぇ・・・・・」
見て分かるほど意気消沈ながらも笑顔を取り繕う。落ち込んでいるのが醸し出ていて、なんとかしてやりたい気持ちはあるけど
こればかりは我慢してもらいたい。
テレビの音だけが虚しく流れ、
俺と冬雅の間に入ってきた比翼は喜色な笑みでこう言った。
「ねぇ、それなら一対一とかじゃなくて複数で入れば問題を解決とかしない?」
「いや、それは余計に駄目なような気がするのだけど」
「何も問題はない。香音おねえちゃんだって入りたいよねぇ」
「はぁ!?んなわけ無いでしょう」
理不尽にも断っているはずなのに俺に睨まれても困るのだけど。
同じ反対意見しかし比翼は想定内だったのか香音に近づき何かや耳元で囁くと、香音は顔を赤らめて目を輝かせる。
何をしているのだろう。俺の中で激しく警鐘を鳴っている。
「そうね。友好のためにも入る必要性はあるわねよね。変な事をしないと条件だけど」
「何この手のひら返しは!?」
冷淡な態度が弾むような態度で賛同した。待て、待て。社会人と香音からすればやたらとモテる人と入るのって百害あって一利なし。
それをどうしてこんな事を。
「もちろん真奈おねえちゃんだって、おにいちゃんと一緒に入りたいよねぇ。ねぇ!」
「真奈様」
「どうしてそこでワ、ワタシ!?お兄さんと入浴したいと言えば入りたい・・・かな」
人差し指を当てては離すを繰り返す。
その縋るような上目遣いは反則だと常々そう思っています。
「あの真奈達と入るのなら、わたしだってお兄ちゃんと入りたい!」
冬雅は挙手して強く主張する。
不屈な闘志を持つのが冬雅だから
想定内な反応で驚くことはないけど、このままだと話が進んで本当に入りそうになる流れだ。
どうにかしなければ。
「いや俺のは見せられるものじゃないから」
鍛えてもいないし見られるのも恥ずかしい気持ちはある。
「ば、バカじゃないの!水着をつけて入るに決まっているでしょう。何を考えているのよバカしゃないの!!」
「お、おにいちゃんそうなの?」
「ちがうぅぅ!!そういう事じゃなくて醜い裸を見せるのに抵抗があるって話」
真っ赤になって激昂した香音。丸裸で入る話なら俺だって全力で止めるよ。水着だからそこまで
反対はしないだけで。
決して入るのが楽しみなわけが・・・無いことも無いけど悪魔でいつもと違う会話をするのが楽しみなだけだ。
「ちなみに、わたしお兄ちゃんの裸を見た事があるのだけど女の子みたいに真っ白だったよ」
「冬雅おねえちゃんどうしてそんな事を知っているの?」
真顔の比翼に問い詰められた冬雅は俺に助けを求めようと視線を送ってくる。おそらく着換え中に入ってきた件だろう。
俺は苦笑をこぼして止めに入る。
さて決定事項となりJKと入浴することになった。
・・・どうしてこうなったのだろうか。
立派な浴室ではないので3人で入る事になった。もちろん着替えは別々、俺は脱衣所で着替えて他の二人はリビングで着替えてからノックしてから入ってくると話し合いで決めた。事前にリビングで着替える事を弟の移山には伝えてある。
学生時代の水着を着替え終わり二人が来るまで待つこと数分後ドアが3回ノックする。
「お兄さんもういいですか?」
「ああ着替え終わったよ」
返事をするとドアノブを捻り、ゆっくりと入ってくる真奈と香音。
頬を赤らめて入る真奈の水着は真っ白のフリルビキニ。
可愛いらしいけど豊満な胸や美脚に目を奪いそうになる。
髪を後ろに束ねた香音の水着は燃え盛るような赤色のオフショルダーのビキニ。
「・・・お兄さん本当に肌が白いですねえ」
「冬雅が言っていたけど、もう女の子レベルに白いわね」
「そんなに白いのか・・・・・」
夏でも涼しい長袖を着ていたから白いのかもしれない。後はピタミンC、コラーゲンも摂っている。
それよりも比翼がいつも言っていた気合の入った洋服は似合っていたら積極的に褒めることと言っていた。
きっと水着を選ぶのも真剣に選んだだろうから。
「フフ、入るだけなのだけどなんだかドキドキする」
「はい!よく分かります」
「真奈すごく似合っていて神々しい美しさで可愛いよ。あと香音も水着が眩しくて可愛い」
「か、かわいい・・・フフッ。お兄さんありがとう。すごく嬉しい」
「何を言っているのよ!わ、私の水着を褒めても嬉しくなんてないんだから!」
急な褒め言葉に真奈は悶そうなほど頬を赤く染まり喜色満面な笑みを、香音は腕を組んで
「それじゃあ俺は先に入るとするか」
浴室に入り俺は軽くシャワーで洗い終えるとそのままバスタブに浸かる。
真奈と香音は頭を洗い終えて身体を洗うのだけど。
「真奈様のお背中・・・ハァ、ハァ」
(あっ、これ危ない人の顔だ)
香音は恍惚な表情を浮かべて真奈の背中を洗う。なんだか止めた方がいいのかなと
俺は数分前に起きた香音が反対意見から手のひら返し理由が真奈と
入れると比翼に囁かれたのが大きいと思う。
「・・・お兄ちゃん一緒に入れますねぇ」
「冬雅おねえちゃん、わたしもいますけど?」
真奈と香音が出て次は冬雅と比翼が入ってきた。俺はバスタブに浸かて待っていた。
冬雅の水着は橙色のワンピース水着でスカート部分はフリル。
比翼は冬雅が前に着ていたピンク色のビキニ姿。
「冬雅、その・・・真夏の楽園にいる女神か妖精みたいで可愛くて
似合っているよ。
比翼は女の子らしくて可愛いね」
「なんですかそれ!わたしのだけ短くない?
おにいちゃんは冬雅おねえちゃんが大好きなのは知っているけど
少し褒めたっていいと思う」
「ご、ごめん。元気になれそうな雰囲気を纏っているから見ていて心の中がリラックスするよ」
「若干それだけだと納得しないけど、まぁそれだけいいでしょう!」
比翼は胸を張って及第点だったようだ。前に入った真夏達ように、艶めかしいな展開はなく仲睦まじく背中を洗っていた。
二人がバスタブに入る。位置は冬雅が右で比翼が俺の膝上に座り始めた。
「お兄ちゃんいつもよりも近いとドキドキします。少し狭いバスタブでも入りたかったです」
「冬雅おねえちゃんはまた誘惑みたいな発言しているし。
おにいちゃん騙されないでねぇ。冬雅おねえちゃん落とそう計算している節があるから」
「そ、それは実行する前で。お兄ちゃんの前では計算なんてする余裕はありませんから」
冬雅は口まで湯船に浸かりプクプクと泡を作り始める。
どうなるのだろうと心配していたが意外にも日常会話が出来て個人的には楽しく俺は満足していた。
表情をすぐに気づいた冬雅は見上げて満面な笑みを浮かべたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます