第256話―冬雅作戦NEXTジューンブライド―

冬雅は入浴している。

一分もない距離に小雨に濡れている理由もあるがコロナで顔や髪なども菌が多数もつくと言った。

ともかく冬雅が家に来てくれた事は素直に嬉しく心は安らぎ心地いいと。


(上がった冬雅に何をするか考えないと・・・いや、そうじゃなく

女子高生が独身男性の家に迷いもなく喜色満面なのが問題なのに

好意的に思っているの間違っている

から俺は!?)


「お兄さん、その耳を貸してくれない?」


ダイニングテーブルに手を繋いで座る真奈から俺にだけ伝えたい言葉がある・・・になるのだろうか?

対面に座る比翼の耳に入ってしまい懐疑的な眼差しを俺達に向けられた。

あの、俺は何も言っていないのですが?

しかし比翼の疑う視線はその後の結果からしたら正解だから否定しようがない。


「えーと、何かな真奈?」


耳を近づける。比翼に知らぬが存じぬと真奈がいつもなら聞こえても構わないのが指定したのが相談であると推測したから。

少ししてから真奈が小さな声で言う。


「お兄さん、冬雅が来てからソワソワしているの分かるけど少しはワタシを見て欲しいかな」


・・・あ、あれ。真奈がそんな事を言うなんてあるのかな?

大好きだって言っているのと同じなんだけど。それに息が耳に当たってドキッとするからやめてぇぇ!!


「み、見ている!真奈をじっくり見ているから!!」


離れた俺は、どうにか不安させていた真奈に弁明みたいな言葉で誤解を解こうとした。


「じ、じっくり見ているんだ・・・フッフフ。このままゲームしませんか?にらめっこ」


微笑みを浮かべ頬は淡い赤が好きなんだって言葉よりも雄弁に語っているようだった。


「真奈・・・にらめっこは負けそうだからやめとくよ」


「フフ。駄目だよ、お兄さん最後までやりましょうよ」


お淑やかなのは崩さず積極的になっている真奈に俺は、もしかしてお酒の力じゃないのかなと脳によぎったが真面目な真奈がそんな

事はしない。普通に未成年だし。


「ふーん。二人はいつからそんなイチャラブするような関係に

なったんですか?」


頬杖にする比翼は冷めきった表情と言葉を向けた。


「ひ、比翼。えーとただのゲームだよ」


「真奈おねえちゃんどんなゲームでも、これはゲームじゃない・・・なんてニヒルに言ってそうなのに」


「さ、さすがにそこまでゲーム依存症にはなっていないよ!?」


「はは。じゃあ盛り上がった所で色気を使った真意を語ってくれませんか」


「そ、そんな事ナイヨ」


年下の比翼に最強のゲーマーたる真奈は翻弄されていると窺える。

そんな仲睦まじい?のを傍から見て発見したのがある。

俺も比翼に怒られていると動揺しているのを同じく映るのかもしれないなぁ。

そんな1幕を傍観するのは時間の問題だろう。矛先を向けられても冷静に対応を出来るように今から考えるとしよう。


「そ、そうだ!比翼もにらめっこしようよ」


「はぐらかすの下手か!?

仮に3人でして楽しいの?どうやって笑かすのか気になりますよ。

ああー!どうしてわたしがツッコミしているの!!」


今日もカオスで平和だなと俺は今だ降り続く雨を窓越しから眺める。

後ろからドアの開く音がした。

冬雅・・・または二階にいる弟の移山 かと振り返ればシャワーから出たばかりの冬雅。

上部に寄せ集めた橙色のスカート。

例えるならカーテンをぐるぐるにしたシワみたいだ。

ノースリーブ白のブラウスの格好は称賛の言葉が絶えないだろう。清潔感と溢れる元気で眩しい。


「お兄ちゃん・・・大好き!!」


感極まった瞳は潤っていて優しく微笑みに鼓動が高鳴る。

好意を隠さない微笑みというものは威力が凄まじい過ぎるものだった。

俺が硬直していると冬雅はゆっくりと歩きおもむろに走り、そしてハグされた。


「えっ?・・・・・ふ、冬雅さん!?」


つい敬語になる俺は頭の整理がつかず現実と夢世界の狭間に迷い込む。

手を握ることも、ここ最近はしていないのに前触れもなくハグされて俺は胸が締めつけられ鼓動の音けたましく聞こえる。


「ふ、冬雅!?」


「なっ!?はっ、えぇ?」


真奈と比翼の驚きの声が入るけど、俺はどうすればいいのか分からず石像のように硬直する他がなかった。

引き寄せるように密着され、安らぎと取り乱しの相反する感情が調和こ混沌。

シャワーから上がったばかり良い匂いでさらに判断力がぐ。


「・・・お、お兄ちゃんも返してくれませんか?」


「返すって・・・・・俺も腕を回してハグを?」


「・・・・・うん。ハグしてほしい」


上目遣いがトドメになった。

決して大人の俺からするのはしないとした自制心は崩壊した。

腕を冬雅の背中に回してハグをする。


「あ!・・・・・」


本当にされるとは思わなかった冬雅は驚いていたが、感激してくれたのか力いっぱいハグする力を入れる。

恋愛作品なら古今の小説を読んできた俺は知ることになった。

大好きな相手とハグをするのは、

あまりにも心地よくて永遠に続けてほしいと。どれほど続いたか、

俺も冬雅も決して離れようとしない。


「うわあぁぁーー!?いつまで抱きついているのバカカップル!!

いい加減にはーなーれーろ」


怒り叫ぶのは比翼は間に入って引き剥がしに敢行した。

そこで俺は少し冷静さを取り戻し冬雅を抱きついていた真実にすぐ離れる。

冬雅は暴走から抜けたのか顔を赤く染まり腕を前に組んでうつむく。


「二人して照れるぐらいならハグしなければいいじゃん!

冬雅おねえちゃん度が過ぎているよ。急にハグするなんて」


「わぁ!わぁ!?本当はハグをするつもりは無かったのだけど嬉しくっていつの間にかしていたかな?えっへへ」


「ふーん。衝動的にしたと?

頭がいいのにブレーキとか設置していたの冬雅おねえちゃん」


怒る比翼。なかなか怒りが収まる気配がなさそうなので

止めるべきか考える。


「やり過ぎだから二人とも。

まだ恋人じゃないのにあああ、熱い抱擁なんかしないで!!」


まさか真奈も怒るとは思わなかった俺と冬雅は反省して怒りが沈むまで陳謝するしかなかった。

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