第170話―2020年の冬アニメ語る―

2月11日は建国記念の日。

紀元前660年に神武天皇じんむてんのうが即位した年であり日本が建国した日になるのだが

神代かみよの時代ストーリーになるわけで、はっきり言うと虚構つまりフィクションにあたると言っていいだろう。

信憑性しんぴょうせいが無くゆえに建国記念日ではなく建国記念の日。

法律上でも"の"をつける必要と定めている。その日は建国記念したと祝う事が大事となっている。


「そうなんですね。おにいちゃん頭いいです!」


比翼がキラキラした目で俺を見る。尊敬の念を出ている眼差しに

心地いい。


「そんなこと無いよ。俺のつまらない話を聞いてくれる

比翼は勉強熱心だね」


「ううん、基本的におにいちゃんの話が大好きだから勉強熱心とは少し違うよ」


「わ、わたしもお兄ちゃんが大好きです!」


ソファーで座って話をしていた俺は比翼にちょっとした豆知識を

披露していると冬雅が話に入る。


「冬雅おねえちゃん、わたしもセリフだけど、わたし告白してないよ」


「ふぇ、つい反射反応が・・・うぅ」


「えーと俺は知っているから、そう恥ずかしがらなくても」


「む、無理だよ。海の上で歩くと豪語したイエスの弟子並みに無理だよ、お兄ちゃん!」


「冬雅そのたとえは普通の人は分からないよ。私は・・・

理解したけど」


「?二人とも何を言っているか分からないよ。教えてマナベディア」


聖書の内容にイエス・キリストの弟子が変人や過激発言することが多いことは俺と冬雅もそれなりに知っているけど比翼は疑問符だったようで

炬燵こたつで三好さんと羽柴さんの勉強を教えていた真奈の

背後からハグする。


「ひゃあ!?きゅ、急に抱きつかないで比翼・・・えーと?」


「えへへ、真奈おねえちゃん

いい匂いするし柔らかい・・・おにいちゃんにハグすればイチコロだよ」


「「イチコロ?」」


座った真奈に密着する比翼の言に聞いたことない単語を鸚鵡返おうむがえしの三好さんと

羽柴さんの二人。まぁ、最近の

JKさんがイチコロなんて死語か。


「そ、そそ、そんなこと無いし。お兄さんに抱きついたら・・・骨抜きなんて・・・・・出来るかな?」


「うん、間違いないよ。

真奈おねえちゃん魅力みりょくだからドキドキしない人はいるわけがない。女の子のわたしもそうだから」


「そ、そんなこと・・・・・」


「それもいいけど、真奈おねえちゃん。イエス・キリストの弟子で海の上で歩く件について」


「え、えーとそれはねぇ。

十二使徒じゅうにしとの一人ペテロが、舟から降りて海の上で歩く話でね、風が吹いて溺れてしまったペテロが主よ!と助けを求めて手を引いて助けてキリストが信仰が足りないからと悲観になって呟いた――」


「ありがとう真奈おねえちゃん。もう分かったよ」


百合的なセリフを言った比翼に

真奈は赤面する。三好さんと羽柴さんは比翼の言葉に頷いている。


「あ、あはは相変わらずだね」


冬雅が苦笑していた。も、もしかしなくても二人って真奈に好意に

近い感情を抱いていることなのか。


「・・・・・」


真奈が俺に視線を何度も向けている。比翼の胸に頭をバグされているのに、動かせるのか・・・いや、

そこじゃなく俺に好意を分かりやすく向けられると、居心地がわるいと言うのか地につかない気持ちだ。


「比翼ちゃん!真奈様の迷惑になるからこっちにこよう」


「はーい、香音おねえちゃん」


比翼すっかり羽柴さんに懐いているなぁ。比翼ちゃんと呼んでいることもして逆もしかり。


「お兄ちゃん・・・平和ですね」


「国際問題が混迷の絶賛一途に辿たどって環境問題や貧富の差に目をつぶればねぇ」


「お兄ちゃんそういうのじゃないんだけど、これもこれで楽しいです」


目を細めそうな眩しい笑顔を今日もした冬雅に俺は、やはり好きなんだなぁと少しは仄かな気持ちに

なるのだった。


今日も勉強会が終わり次はアニメを観ていた。楽しいと時間はあっという間に過ぎていく。


「今期のアニメも話が半分も進んだなぁ」


俺がそう感慨深く呟くのは、話数が半分になってからが多い。

最初の一話などは期待や一体どんな作品だろうかなど楽しみになる。そして、1わんクール半分ほどで突然、感慨深くなり郷愁感に近い気持ちにさせる。

そして、最終回は終わったと寂しさとあの話など振り返る。その感情は虚無感にある光に近いだろうか。


「今期のアニメって何おにいちゃん」


ソファーに座る俺は後ろから比翼がハグしてきた。頭の後ろに柔らかい弾力性が・・・こ、これもしかしなくとも胸だよな。少しは

遠慮とかしてほしい。


「お兄さんいくらなんでも中学生にドキドキしないでよ」


左に座る真奈が非難の目を向けていた。


「もちろんだよ」


「なら、おにいちゃんギューと

するんだから!」


これ以上、強くギューとしないで

ほしいかな。さすがにドキマギしてくれるのだから。


「お兄さん嬉しそうにし過ぎなんだから」


俺の手の甲を触れていた真奈は、

繋いできた。それには、驚きはないのだけど嬉しそうにしていた

言葉が気になった。俺は比翼のハグに喜んでいたように見えたのか。


「ラブコメみたいになってきているよお兄ちゃん。比翼さっきの質問はねぇ、今期のアニメは

現在放送されているアニメになるのだよ。それで今は冬のアニメ」


右に座っていた冬雅は、微笑んで説明していた。油断すると何度も見て飽きないその笑顔に見つめそうになる。


「そうなんだ。それじゃあ、

みんなは今期のアニメでどれが

一番よかったの?」


そうアニメ好きならよく話題をする今期のアニメ面白い作品は?というもの。だけど、一番となると

すぐに答える人もいれば、

熟考する者もいる。因みに俺は

内容によって前者にも後者にもなるタイプ。


「あっ、比翼ちゃんそれなら

私はねぇ――」


真っ先に手を上げたのは羽柴さん。

まさか先に答えるとは思わなかったのだ。最近リア充でもアニメ好きは珍しくないから不思議でもないと分かっても少し意外なほど。


「理系が恋に落ちたので立証してみた。が面白くてヤバイ!」


「香音おねえちゃんリケ恋なんだね」


羽柴さんの好きな作品に、冬雅や真奈も嬉しそうにしている。

一緒に観ていたからなぁ。

控えめに挙手する三好さんに皆が注目する。


「わ、私は、虚構推理です」


「へぇー、そうなんだ!

面白いよね」


「うん」


三好さん比翼に同意して嬉しそうだな。ようやくアニメ化した

すこぶる面白いから、話をしたいけど俺はコミュ障だからなぁ。

比翼みたいに饒舌じょうぜつに話せる自信はない。


「フフ茜たら。・・・お兄さん?」


「真奈いや何でもないんだ」


「そうですか?もしかして変に気を使っていませんか」


「本当に何でもないんだよ。

心配かけてごめん」


「・・・謝るよりも頼ってほしいよお兄さん」


優しい笑みを浮かべる真奈に、俺は成長した真奈の言動に驚いた。

物憂げな表情をするのが、多い彼女は今は大きく見えて頼もしく思える。


「相談と言うほどじゃないけど、どう話せばいいか考えてしまうんだ」


隠し通すつもりだった小さな悩みを真奈の心配の種にさせると天秤をかけて重たく下になるのは、真奈の懸念だ。成長したとはいえ

真奈はどこか心はもろく思えてならないのだ。

そして悩みは些細なものあってすぐに言えた。


「そう・・・なんですか。お兄さん助言は出来ないけど協力は

するから」


「ああ、ありがとう」


お礼を伝えると真奈は嬉しそうに微笑んでいた。


「次は、わたしの番。

言った本人が最初から最後でもないのが現実感をさりげなく教えるのです」


比翼は両手を腰に当ててうそぶくように言い放つ。

もしかして俺と真奈が話を終えるまで待ってくれたのかな。

いや、考え過ぎだ。さすがに中学生の比翼にそこまで配慮なんて

しないはず。そして比翼が好きな作品を言う。


魔入まいりました!入間くん」


そう言えば比翼がよく観ていた。


「その次は、ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます」


比翼が好きなアニメに冬雅達は

「うん、面白いよね」「主人公の冷めたようなツッコミが面白いからね」「よかったら、うちの書店でお買い上げを」「ふーん」

など様々な反応があった。


「次はおにいちゃんとはべらせている?おねえちゃん達だけですね」


「は、侍らせているって比翼。

どこでそんな言葉を覚えたのよ!!」


真奈が顔を赤くなって突っ掛かる。比翼は、まったく効果がなかったようでイタズラをする笑みを

したまま。


「そう言っても手を繋いでいる真奈おねえちゃんの説得力は皆無だよ」


「ち、違うから!」


叫んで否定するが俺も説得力が

皆無だと思います。視界に恐い顔をした羽柴さんが入ったけど気づかないフリをしておこう。


「お兄ちゃんいい笑顔だね」


「えっ?冬雅その醜い笑顔をして気分を害したかな」


「お兄ちゃん少しネガティブだよ。裏とかないんだから・・・

そ、それにわたしが気分を害するなんて絶対にないんだから。

お兄ちゃんが、ずっと笑ってくれたら・・・・・愛しているお兄ちゃんを見て幸せだから」


赤くなる冬雅の否定と課題としいる告白、おそらく計算ではなく勢いで言った言葉だろう。

それぐらい冬雅の事は知っているつもりだ。


「むぅ、おにいちゃん冬雅おねえちゃんに見つけ過ぎです!

早く答えて」


「ご、ごめん比翼」


ああぁーー!!?どうして俺は

冬雅の熱烈な言葉で放心みたいになるのか。過ぎたことよりも

今を見よう。そうしないと羞恥心で消えそうになる。俺が好きな作品か心に響いたのは多いけど

あえて一つにしたら。


「マギアレコードかな」


アニメを見てからソシャゲをダウンロードした。好きな声優さんが

出ていて歓喜したものだ。


「お兄ちゃん、わたしも好きだよ。好きなキャラはやっぱり、

まどか!」


「ワ、ワタシは、ほむら」


冬雅と真奈が好きなキャラを答える。あれ?この流れは好きなキャラを言えばいいのだろうか。


「やはり最強レベルの人気の高さだ。俺はたまきいろは」


「おにいちゃん清楚系で優しくて一生懸命なヒロインが好きだよね」


「比翼の中では俺ってそんな

イメージなのか」


「うん。冬雅おねえちゃんに

似たヒロインが弱いのはよく知っているから」


「まさか、そこまで知っているとは・・・・・んっ?比翼それは大いに勘違いしているぞ!!」


「そ、そうだよ。わ、わたしそんなにかわいくないし髪の色だって――」


「なるほど、お兄さんの好みの女の子はたまきなんだ」


それから俺は誤解を解くのにかなりの時間を費やすことになった。


「はぁー、次は真奈どう?」


「お兄さん話の振り方が雑になっていません?まぁ、いいけど。

ワタシは防振り」


「真奈おねえちゃんゲーム好きだね」


「どうしてそう思うのか比翼に言いたいけどワタシは我慢する」


「えへへ、真奈かわいいね。

お兄ちゃん!」


「あ、ああ」


痛いのはイヤなので防御力を極振りしたいと思います略称が防振り。

比翼の言葉には頷けることはある。実際にめちゃくちゃゲーマーだし、そのうちeースポーツで世界を取りそうなほど腕前。プレイ時間はそうでもないのが余計に恐い。


「最後は、わたしですね。

わたしはフェイトグランドオーダーかな」


絶対魔獣戦線バビロニアなら、冬雅と二人でたまに観ていたことが

あったなぁ。一緒に観ていた

時間が無性に幸せで貴重な思い出になって心に刻まれていた。

それから俺達は、好きなアニメの話を続けるのだった。

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