第78話エンジェルメイド冬雅

移山に少々、強引に連れられ冬雅達の

学校に来てしまった。

実際、俺も行きたかった。

なにかきっかけがないと

情けないけど。

俺達が向かう場所は一つだけ。

冬雅達の2年一組は、メイド喫茶で

見たらすぐに帰ると移山に伝える。


「まぁ、目的はそれだけだからなぁ。

でもそうなると思わないけど」


「それ、なんだか恐いのだけど」


校門をくぐり抜け、見渡すと

人がひしめいて不安で落ち着かない気分に掻き立てられる


「うげぇ、帰りたい。今すぐに

帰って小説を書きたい」


「期待の裏切らない言葉を。

せっかく来たんだから行くぞ」


「アイアイさぁ!」


所々に出店が連なっていて、

文化祭だけあって、活気がある。

スリッパを履き地図を見て2年一組に

向かい進む。教室の入口に

長蛇の列に目をした。


「・・・な、なにこれ!?」


「すごい列だな」


俺が驚いている中で、弟の移山は

面白そうに笑みをこぼす。


「・・・並ぶのか」


「並べしかないなぁ」


気力が萎える俺は、ため息を零して

列に並ぶだった。

およそ一時間ぐらい経過して

やっと・・・中に入れた。


「「「お帰りなさいませ

ご主人様!・・・・・」」」


「お、お兄ちゃん!?」


「や、やあ冬雅ふゆか


昨日の露出度が低いヒラヒラした

メイド服ではなく、スカートは、

膝丈サイズの格好に安堵した。

それは、さておき冬雅と真奈まなと見知らぬ女の子の3人は

メイド衣装で迎えられた。


「どうして、お兄さんが・・・」


「お兄ちゃん行けないって

言っていたよね。えーと・・・

どういうことなの?」


真奈と冬雅が溢れんばかりの笑顔で

疑問の俺がやって来たのか尋ねる。

うーん、移山が唐突に行くことに

なったと言うべきか。

でも、本当に望んで選択したのは。


「もちろん冬雅と真奈を見に来た

んだよ。正直、来てよかったと

思っているよ」


周囲の目とか冬雅と真奈に楽しんで

ほしいと考えて文化祭には

行かない選択したのだけど、

想像以上に俺は二人を家族のように

妹か娘に近い感情を抱いている。


「ふ、ふん!少し感謝して

あげるわ。お兄さんが来てよかった

と思っているわ」


「そんな恥ずかしいですよ

お兄ちゃん。えへへへ」


「あ、あの・・・この方は?」


呆気に取られていたもう一人の

メイドさんが訝しげに視線を向ける。


「あー、お兄さんは・・・・・

ふ、冬雅の兄なんだ」


真奈は、普通に答えそうになりそうに なりそうになるが、そこは

ちょっとの間で機転を利かせる。


「そうなのですか。峰島さんの

お兄さん・・・それで、真奈様とは

どんな関係ですか?」


「か、関係ですか?」


あれ?笑顔で問うているのに、

目が笑っていない。

それどころか、敵愾心てきがいしんを肌に感じて蛇に睨まれるカエルの気持ちになるのだけど。


「お、お兄さんどんな関係・・・/(

あっ、あわわ・・・・・・うぅぅ」


「真奈様をここまで・・・・・くっ、

あなたに相応しいとは思えないわ」


「そ、そうですか・・・。

えーと、冬雅と真奈そろそろ席を」


「はっ!そ、そうわね。案内するわ

東洋お兄さん」


「やったー!お兄ちゃんご主人様」


二人ともけっこう舞い上がっている。

このテンションで接客しているなら

スゴイ元気だ。

二人についていき窓際の四人がけ

席に俺と向かいに弟の移山が座る。


「兄者、来てよかっただろ」


「ああ、そうだな」


移山のやや強引な誘いがなかったら

色々と理由を立てて行かなかった

だろう。


「お兄さんご主人様。

今日はよかったらトランプとか

しません?」


「だ、大丈夫だよ真奈」


「お兄ちゃんご主人様♪

えへへ、わたしをずっと見ても

構いません」


「わ、分かったから落ち着いて」


まさか、冬雅どころか普段は冷静の

真奈が舞い上がり過ぎて

トランプとか誘い始めた。

冬雅は平常運転の天使スマイル。

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