第59話 オルタナス学院


 第59話 オルタナス学院


 ユウキと、双子は宿屋を後にした。宿屋のおばちゃんは名残惜しそうに見送ってくれた。また王都に来た際には泊まることを約束して、桜・舞姫と約束していた王都の中心にある噴水公園へ向かった。


 噴水公園には、様々な、種族が集まっている。どうもカップルが多く、デートスポットにもなっているようであった。噴水公園というだけあって、その中心には、数メートル吹き上がる噴水があり子供たちが止まったタイミングで走り抜けるという遊びをしていた。


 双子たちの目がキラリッっと光り、その遊びに混ざろうとしている。しかし、今日は、本人たちの希望で着物を着ているため、走ろうにもいつもの動きができない様子であった。その双子たちの様子をユウキは、ほほえましく思いながら眺めていた。


 時間になっているが、まだ桜の姿が見えない。と思いながら、周りを見回していると、


 噴水が吹きあがった後に、黒い影が見える。桜・舞姫が得意そうな顔でこちらを見ていた。


「マジシャンかっ!」と突っ込んでほしいのかと思っていると、いつもは一定の時間で吹き上がる噴水がリズムを狂わせ吹き上がってしまった。


 そう、桜・舞姫の足元から勢いよく。桜・舞姫は、そのまま噴水の勢いに負けてしまい数メートル突き上げられ、落ちてきた・・・。


 頭からパンツの中までびしょ濡れになってしまった桜は、恥ずかしそうにうつむきながら「きがえてきます。」と、建物の陰に消えていった。


 数分待っていると、着替えた桜が、何事もなかったかのような顔で建物の陰から出てくる。


「さてっ、ユウキ様。この、桜・舞姫が学院までご案内しますねっ」


 ユウキは、笑いたいのを我慢しながら双子を呼び、4人で学院へ向かう。


 学院は、王宮の西側にあるとのことで、桜が先頭に立ち歩いて移動していた。


 西側に行くと、まるで王宮の壁のような高い壁が見えてきた。敷地もかなり広く感じる。


「桜さん。まさかこの巨大なところが学院じゃないですよね?」


 王宮の西側は、この壁で占められているといってもおかしくないほど巨大な壁であった。


 桜・舞姫は、巨乳の胸を張り


「そうです、ユウキ様近壁の向こう側が学院になっています。学院の説明はあとで中に入れば、看板に説明が記載してあるので後で確認しますね。」


 学院の入り口が見当たらず、ユウキは桜に後ろ側か反対側に入り口があるのか尋ねる。すると、桜は「ふふんっ」っと、鼻で笑いながら、


「いいえ、ユウキ様。この学院は、教師か学院の生徒であればどこも入り口になり出口になる不思議な壁なのです。」


 桜は、説明しながら、教師である証の胸の間に挟まっていたカードを取り出すと、おもむろに壁にカードを刺す。


 すると、カードが刺さった場所からすぅ~っと、門が出てきて迎え入れてくれる。


 王宮ほどもありそうな、その学園の中に入ると10数個のドームと巨大な教室があった。



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