第55話 ギルド登録


 第55話 ギルド登録


 ユウキは、朝食を摂った後ギルドへ登録証を受け取りに向かうことにした。一人で行こうと思ったが、双子がどうしてもついていくというため一緒に行くことにした。


「その恰好じゃないといけなかったの・・・?」


 双子は、とうとうお気に入りのスパンコールのちりばめられたボディースーツを着て出かけると言ってきかず、ユウキは仕方なく承諾してしまった。

 しかし、さすがに1階に下りた瞬間に宿屋のおかみさんが爆笑し、昔おかみさんの娘が使っていたというローブを貸してくれた。

 双子たちは、日の光を浴びてキラキラ光るのを楽しみにしていたがユウキが、

「ローブを着てくれないと一緒に行かない。」とお願いした。


 しかし、ローブを着ていてもちらちら見える部分が日の光を浴びてキラキラして見え、街の人々に結局じろじろ見られる結果となってしまった。

『二度と着せまい』ユウキは、そう心に決めた。


 ギルドが近づき、このまま双子もつれていくか本気で悩んだが、外にいても下手に動いて目立つよりはと、あきらめて連れていくことにした。



「あっ!きたきたっ!!」


 昨日、受付をしてくれたギルドの受付嬢がユウキたちに気付き、奥へギルド長を呼びに走っていった。しばらく待っていると、大きな水晶を持った受付嬢と、相変わらず威張った感じで歩いてくるギルド長の姿が見えた。

 ユウキは、立上がり『ギルド登録はこちら』と書いてある受付へ向かう。双子はその後ろをついてくる。


「さてと、ユウキ・ア・スパラで間違いないな?」

ギルド長が、ユウキに向かって登録証の中身に間違いがないか確認をとる。


 ユウキは、内容を確認して間違いない事を伝える。


「では、ユウキよ、この水晶にもう一度手を置いてくれまいか。」


 ギルド長は、自分の顔より大きい水晶を指さしながら、頼んでいる言葉ではあるものの、ユウキに有無を言わさず手を置くよう指示を出す。



「これに、手を置けばいいのですね?」


 ユウキは、大きな水晶に手を置く。すると、昨日と同じように虹色の光が出るがそれが終息すると、金色のコインが浮かび上がる。


 その様子を見ていたギルド長は、「なるほど、やはりのう・・・。」とブツブツつぶやいてから奥の部屋にまた戻っていってしまった。


 意味が分からないユウキは、奥の部屋の扉を眺めていた。


 しばらくすると、奥の部屋から小箱を持ってギルド長が帰ってきた。

 小箱を開けると、そこには金色のギルドマークが彫られたブローチが入っていた。


「ユウキよ、おぬしはこのギルド始まって以来のゴールドホルダーに任命するのじゃ!」


『ゴールドホルダー??』ユウキが、何を言っているのか分からずぽかんとしていると


「ゴールドホルダーというのは、ギルドに最大限貢献しつくした者か、才能が著しすぎる者にしか与えられない、ギルドの最高栄誉の証であるのじゃ!」


 ユウキは、ギルド長の話を聞き、証の意味は分かったが、なぜ、登録しに来たばかりの自分にこんなものをくれるのか分からずにいた・・・。




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