第42話 角の生えた双子


「じゃっでよ!東ん方からきもした商ん人じゃって!ないごてわかいもはんか!」


 これは・・・イントネーションが多分、故郷の鹿児島弁・・・


 ユウキは、懐かしさを感じ、だが鹿児島弁ってなんだっけ?と思いながらも

 このままでは、王都に入れないと思い通訳をすることにした。


 第42話 角の生えた双子


 鹿児島弁のことは、よくわからないが、なぜか通訳できた。

 行商人だというその男性はとても感謝をし、あとでここに来てほしいとメモを渡し王都に入っていった。

 門番の兵士たちからも、感謝の意を伝えられ特別に行商人のあとからすぐに入れてくれた。


「ラッキー!あのまま後ろに並んだら30分は待たないといけなかった♪」


 通訳をしたおかげで、早く入れたことを喜びルンルン気分で街の中を見て回った。

 さすがに王都と言われるだけあって、いろんな種族の人たちが歩いていてとても刺激的だった。

 耳のとがったとてもきれいなエルフや、ずんぐりむっくりとした体型のドワーフ、キツネのお面を被っているが尻尾も狐の和服を着た不思議な種族もいた。


「人も店もいろいろあって、うれしいな♪」


 お店で串に刺さった肉の塊に甘辛いたれのかかった物や、緑色のシュワシュワっとした飲み物を買い歩きながら食べていると・・・


「「おぃっ!!金出せやっ!!!持ってないだぁ!!飛んでみろや!」」


 路地裏から、いかにもな声が聞こえてきた・・・

 無視しようかどうしようか考えていたが、ちらっと3人くらいのチンピラの隙間から髪の長い女の子が震えているのが見えた。


『うん。助けるかっ!』


 女の子だからではない!

 決して女の子が可愛いから助けるわけではない!!

 そう自分に言い聞かせながら、路地裏に入っていった。


「ねぇねぇ。お兄さんたち、女の子相手からお金巻き上げるようなことをしちゃダメでしょ?」


 囲まれている女の子たちを助けるために、チンピラたちに後ろから声をかける。

 チンピラたちは、まさか助けが入ると思っていなかったらしく驚いた様子でこっちを見たが、声をかけたのが14歳くらいの子供であったために舐めた表情にすぐに変わる。

 ポケットから、ナイフを3人とも取り出しチラつかせながら


「「あっちに行きやがれ!!ガキがっ!!」」


 追い払おうとするため、少し魔法を使用する。


【ウィンド・ストリーム(弱)】


 チンピラたちの足元から風が巻き起こる。

 その風が、チンピラたちの体を包み込み・・・


「「なっ!!??なんじゃこりゃっ!!??」」


 その声を残して、3人とも路地裏から吹き飛ばされていった。


「お前たち!何をしているんだっ!その手に持っているものはなんだっ!!」


 吹き飛ばされて行ってチンピラ3人が落ちた場所は、警備隊の訓練所のど真ん中であった。

 そのまま、連行されていった3人のその後はわからない・・・。


 3人のチンピラが飛んで行った後に残ったのは、12~13歳ぐらいの同じ顔をした可愛い女の子だった。


「私達みたいな者を助けてくださって、ありがとうございますっ!」


 涙を浮かべながら、お礼を言ってくれる二人の顔はそっくりなのだが・・・


 ・・・それぞれの額の左右に1本ずつの小さな角が生えていた・・・。


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