第35話 家庭教師 アルデバラン・B・サルサ(その2)



第35話 家庭教師 アルデバラン・B・サルサ(その2)


「おーーーい!!ユウキ君おはよう!!起きて早く降りて訓練始めるぞーー!!」


 中庭から大きな声が屋敷全体に鳴り響く。


 朝早くから、元気である・・・。


「はいっ!準備してすぐ行きますっ!」


 アルデバランの声に引っ張られるように、ユウキも窓を開け大声で返す。


 その声に満足したように、ニコニコ顔でアルデバランは待っている。


「さて、剣術の授業の前に剣について説明する。」


 武器の種類としては


 ・ショートソード類 (30センチ未満の物)

 ・ロングソード類 (30~1m程度の物)

 ・両手剣類

 ・アックスやハンマーなど

 ・杖など


 素材としては


 ・木

 ・鉄

 ・鋼鉄

 ・石材

 ・オリハルコンなどの貴重鉱石

 ・未知の素材


『未知の素材って何だろう・・・』


 説明しているアルデバラン先生に聞いてみたが、


「未知は道だっ!」


 と、分からない様子であった。


 そのうち自分の装備も何でできているか確認してみようと思った。



「では実技をしてみるか。」


「剣技は学んだことがあるのかっ!?」


 いちいち、鼓膜が破れるかと思うぐらいの大声である・・・


「はい。執事から少し・・・」


 そういうと、執事から教えてもらった程度であることを知ったアルデバランは


「じゃあ、一から教えないといけないか・・・」


 ボソッと言い、真新しい木剣を渡される。


「構えはこうだ!」


 アルデバラン先生が正中上段に構える真似をする。


「そして、そのまま振り下ろす!」


 言われた通りに、振り下ろす。


 ブンッ!


 風を切る音が鳴る。


「では、この基本の振りをもとにそこにある人形に本気で叩き込んでみろ!」


 基本って、上段しか教えてもらってないんだけど・・・


 そう思いながらも、木でできた人形の前に行き木剣を本気で振り下ろす。


 ブンッ!!! ブワッ!!! ガタガタガタッ!!!


 振り下ろした瞬間、


 一瞬で人形は砕け散り、風が舞い、木々が揺れ、屋敷全体が揺れ窓にヒビが入る。


「うぉっ!!!」


「つむじ風かっ!!大丈夫かっユウキ君!!!」


 アルデバラン先生は何が起きたのか分かっておらず、僕の心配をしている。


『やってしまった・・・』


 手元には、5センチくらい残った剣の柄が残っているのみであった。


 木剣を振りかぶって下した瞬間に、衝撃に耐え切れず人形と剣は粉々になり、衝撃波が屋敷まで揺らしてしまっていた。


 折れた木の柄を気づかれないように放り投げ、


「先生、すみません、人形も剣も風に持っていかれてしまったみたいですっ!!」


 大きな声で、アルデバラン先生に告げると


「今のは仕方がない。また、今度練習をしなおそう!」


 僕の肩をバンバンとたたきながら大きな声で笑っている。


『よかった。ばれなかったみたい。』


『次は本気でするのはやめよう・・・』


 ユウキは、反省した。

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