episode 3 ???

「……報告いたします」


「事は順調に運んでいますか」


「はい。計画そのものに支障はないのですが、大きな誤算がありました」


「して、それは何か」


「黒のリディアが、二人を捕えるため手の者をこの星に送り込んだようです」


「我が国を滅ぼした上で、なおも逃げた王の血筋の者を完全に封じようというのか! まぁ、あの氷の女王のことである。捕えるとか言いながら面倒なら抹殺でもいいと思っているはず。言うなれば、送り込まれるのは『刺客』と考えてよいな」


「そこなのです。私としては、静観するべきか助けの手を差し伸べるべきか、迷っています」


「お主が姿を現すデメリットとは何か」


「確かに、お二人のお命は守れるでしょうが、助けすぎではご自身の潜在能力が覚醒するのが遅れるか、もしくは厳しい環境に置かれないことで眠ったままになる恐れがあります。さりとて、お二人が目の前で命の危険に遭っているのに、目覚めのために指をくわえて見ているだけなのもまた心苦しく……」


「問題ないではないか。私が聞いた情報では、アレッシアという剛の者があの二人のそばについているそうではないか」


「ああ、あの王立魔装軍の一級将軍の……しかし、あの者は地球で日を過ごすうちに高齢となっていますし、魔法は一定期間訓練を怠りますと腕が落ちます。あの者が往年の魔法力を発揮するのは無理と思いますが? 頼りになるとは思えませぬ」


「了解した。この星までリディアが執念深く二人を追ってくるとは誤算だった。そこまでして執着することを、こちらが読めていなかったのが口惜しい。お前はとにかく、計画自体を無事に遂行することを考えよ」


「はっ。おおせの通りに」


「今はただ、二人のお命が無事であればよし。それだけは、いざという時にはお主が姿をさらしてでも死守せよ」





 ~episode 4へ続く~

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