第四章 日々平穏?
第39話 僕は誰かに相談してもいい
【漆黒のファルネーゼ】「……そういう事なんだ」
デートの翌日の早朝、僕はオンゲーにログインするなり、まだログインしていた初心者の頃からのフレンドでもある『栄光のパルチザン』にババアこと仁奈の事を相談した。
どうやれば、距離を取りながら付き合えるのかを知りたくて。
栄光のパルチザンは、自称ではあるけど、僕よりも七歳年上の兄貴分のような人だ。
今は大学生の謎な人でもある。
僕同様レア武器を持っている英雄的な存在でもあったりする。
【栄光のパルチザン】「ファルに嘘の知識を吹き込んで、デートが失敗するよう仕向けた奴らがいたと小耳に挟んでいた」
【漆黒のファルネーゼ】「何が?」
求めていた返答とは違う事を言ってきたので、僕は多少戸惑った。
【栄光のパルチザン】「初デートでいきなりホテルには行けないものである。連れ込める奴もいるが、それは百戦錬磨の上級者くらいなものだ。奴らは君に嘘を吹き込んで、初デートを失敗に導こうとした罪深き者達だ」
【漆黒のファルネーゼ】「……えっ?!」
衝撃の事実を知らされて、僕は言葉を失った。
デートの〆はどこかに連れ込む事ではなかったというの?!
みんな、僕に嘘を吐いていたっていうの?!
【栄光のパルチザン】「だが、責めないで欲しい。君のレア武器に嫉妬している連中だ。君の失敗をあざ笑う事で優位に立ちたかったのだろう」
【漆黒のファルネーゼ】「……そっか」
僕はあの人達が言っていた事を疑いもせずに信じてしまっていた。
もしかしたら、僕は真実かどうかを見極める目を持った方がいいのかもしれない。
【栄光のパルチザン】「ファルがその女性に好意に抱いていて、デートを成功させたいと思うのならば提案がある」
【漆黒のファルネーゼ】「いや、そうじゃないって。デートを成功させたいワケじゃなくて……」
【栄光のパルチザン】「皆まで言わなくてもいい。私は分かっている」
【漆黒のファルネーゼ】「だから、僕はあのババアとは……」
どうやら誤解されているようだ。
僕はババアと付き合いたいワケじゃない。
あのババアと今後どう距離を取るべきなのかが知りたいんだ。
【栄光のパルチザン】「ファルは私とデートすればいいのだよ」
【漆黒のファルネーゼ】「……はい?」
【栄光のパルチザン】「忘れてもらっては困る。以前、告げた事があるはずだが女だ。だからこそ、女性の視点からデートというものを教える事ができる」
そういえば、そうだった。
初期の頃に女だと告げられた事があった。
オンゲーはネカマが多いので、スルーしていたけれども、本当なのかな?
僕は性別だとかそういった事にとんと興味がなくて、どうでもいい事だと思っていたので、すっかり失念していた。
【漆黒のファルネーゼ】「だから……」
【栄光のパルチザン】「しかも、しょた……いや、何でもない」
【漆黒のファルネーゼ】「ん?」
【栄光のパルチザン】「デートが嫌なのであれば、実際に会って相談するのも手である。こうして画面上で会話をしているだけでは伝えきれない事もある」
【漆黒のファルネーゼ】「……まあ、そうだね。そうだよね」
ゲーム内の会話だけでどうこうなる問題でもないし、一度、栄光のパルチザンにリアルで会って話をするのも有効かもしれない。
ただし、僕は引きこもりなので外には出られない。
【栄光のパルチザン】「外に出られない理由があるのならば、私の方から出向く事も可能だ。ファルのためならば、数百キロの距離であろうとも行く事を厭わない」
【栄光のパルチザン】「そろそろ出かけなければいけない時間だ。すぐにとは言わないが、良い返事を待っている」
栄光のパルチザンがログアウトしたので、会話はここで打ち切られてしまった。
ゲーム内では長年のフレンドだし、実際に会って相談するのも手かもしれない。
ババアの攻勢が激しさを増しそうなら、栄光のパルチザンに相談するのもありかな?
そうすれば、解決したりするかもしれないし。
これは朗報だと思っておくのがいいのかな?
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