第52話 記憶の混合
「ねぇ、二人で何話してるの?」
そう問いかけて来たマキちゃんの声はいつもの声とトーンが全く違っていた。
これはそう、昔のマキちゃんと同じ・・・
「・・・マキちゃん、本当にマキちゃんなの!?」
「えぇ、私は確かに山田マキよ。あなたがシロでしょ?」
「う、うん。確かに今はそうだけど、でも昔は」
「昔?あなたの昔の事は私も良く知らないのだけれど・・・」
「え・・・私だよ、エリだよ!!あなたがあの時あなたが殺した」
「何そんなオカルトじみたこと言ってるのよ。私は確かにエリを殺したわ。でも、死んだんだからもう戻って来ないのよ」
「・・・そんなこと言うんだ、ふーん。ならあんたの秘密、菜々にバラすわよ」
「別にいいけど、せめて私の視界に入らない所でしてよ。ただでさえこいつと一緒に居るの嫌いなんだから」
「あぁ、マキちゃんのその罵倒、久しぶり・・・」
「いちいち反応が気持ち悪いのよ!!」
仕方なくマキの元から離れ、菜々とシロ二人っきりになった。
「ねぇ、どう言うこと。マキちゃんが私が転生した事知らないなんて。なのに私がシロって事は知ってる。何がどうなってるの?」
「うーん、多分記憶が混合してるんだろうね。どう言う訳か突然記憶が戻ったから脳内の整理が追いつかなかったんじゃないかな?」
「なるほどねぇ。じゃあやっぱり私のとっておきを出すしかないか」
「うん、それを早く教えなさいよ」
「えぇ、実はこれずっと言うなって言われてた事なんだけど・・・」
数分後、話し合いを終えマキの元へ帰って来た時菜々の表情が明らかにさっきと変わっていた。
先程まではずっとニヤニヤしていたのに急に顔を真っ赤にしていた。
目線を合わせようとしても一向に合わせようとしない。これは、一体何がどうなってるんだ?
「・・・こいつに何を吹き込んだの?」
「マキちゃんが私のこと信じてくれないからあなたのとっておきの秘密を話したの」
「とっておき・・・?」
「えぇ、あなたが菜々の悪口を言う度に私に泣きつきながら菜々に謝ってたこと」
「な、なななななんでそれ知って!?」
「あの時の私の気持ちも考えて欲しかったわ、自分から言ったのに急に泣きながら謝って、しかも菜々が悲しんでないか見てこいってわざわざ言うし、それから」
「わー!わかった、信じるから!!だからこれ以上はやめて・・・」
「もう、仕方ないなぁ」
「・・・菜々、どこまで聞いた?」
「ぜ、全部」
「うわぁあああああ!!!」
「マ、マキちゃん!?」
マキは恥ずかしさからか、家を飛び出てそのままどこかへ走り去ってしまった。
突然全力で走り去って行ったのでシロはぽかんとしていたが、菜々は未だに頰を赤らめて動かなかった。
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