第14話 福引き

今日は二人で商店街へ買い物に訪れていた。今回はシロの筆記用具や夏休み明けに必要な物を買いに来ていた。

ふぅ、やっぱり新学期の準備ともなると結構な量になるなぁ。あ、あとで名前も書いておかないと。

そんなことを考えながら歩いている時、突然シロに袖を引っ張られた。

何かと思い振り向くと、そこでは福引をやっていたのだ。辺りが凄まじいほど賑わっている。

そんなに景品が豪華なのだろうか・・・い、一等は一泊二日の温泉旅行!?こ、これは当てたい!!

シロも目を輝かせている。けど、引けるのは一回だけだし・・・。

いや、私なら当てられる!!


「一回、お願いします!」

「あいよ!!それじゃあ回してくれ!」

「い、行きます!」

「頑張って、マキちゃん!!」

「一等、来いっ!」


私は目を瞑り、願いながら抽選器を回した。

抽選器から球が落ちる音がしたそしてその瞬間、商店街にベルの音が鳴り響いた。

周りからの歓声が凄まじく、私も恐る恐る目を開けた。すると、そこには金の球が転がっていた。


「大当たりぃぃぃぃぃ!!!」

「え、え、え!?」

「一等だ、大当たりだよお姉さん!!!」

「ほ、本当!?やったぁ!!!」

「やったねマキちゃん!!」

「これが景品の温泉旅行のチケットだ」

「ありがとうございます!」


あ、当ててしまった・・・まさか本当に当たるなんて

でも、温泉かぁ何年ぶりだろ、かれこれ10年以上は行ってないしその分温泉も進化してるんだろうなぁ。

家に帰ってからも私はチケットを見つめてニヤついていた。

でも、すぐに行けるわけでもないしなぁ。・・・いや、このまま有給も取ってしまおう!!

そうと決まれば即行動!!


「シロ、来週温泉行くわよ!!」

「わ、私は構わないけどマキちゃん仕事は大丈夫なの?」

「大丈夫、有給を取ってくるわ」

「そっか!来週が楽しみだねマキちゃん!!」

「えぇ、そうね。これを糧に仕事頑張るわよ!!」


その日から数日間、マキの仕事スピードがいつもの二倍ほどあったとか。

ものすごい速さで仕事をこなして行くマキを見ていた従業員もマキについて行こうとしたが、ものの10分でスピードが落ちてしまった。

マキはそんな人たちのことは御構い無しにどんどん作業を進めて行く。

そして気づけば、二人で温泉に行く前日になっていた。

本来であればもう少し後から有給を取ろうとしたのだが、最近のマキの働きぶりを見た副店長がマキの有給を多めに設置していた。

そのおかげでマキに時間の余裕ができ、万全の状態で温泉へ向かうことが可能になっていた。

あぁ、明日が楽しみだなぁ。近くに水族館もあるみたいだしそこにも行って、それでいろんな温泉に入って美味しい料理を食べて・・・!

早く明日にならないかなぁ・・・

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