異世界情緒を打ち砕く

八割 四郎

開く扉

扉を開けたら、そこは異世界だった。目の前には鮮やかな色のドラゴンが飛び、遠くには奇妙な形をした山々が見える。

「探しました、あなたはこの世界を救う勇者です。」

背後からの声にぞわっとする。振り向くと案の定、元の世界に通じる扉はなく、無駄にキレイな女神様っぽい人(魔法使いかもしれないけど)が立っている。

「あなたには最強の武器をお渡しします 。さあ、この世界を崩壊へと導く悪の・・・」

「その話、いつまで続くの。」

どうしようもなく腹が立って、ついに口を挟む。

「えっと・・・あのそれで、討伐して欲しいのですが。」

戸惑いを隠しきれない女の子には悪いと思いつつも、こうぼやくしかない。

「トイレはどこですか。」

と。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る