第131話 Bランク冒険者達
俺達の今日の仕事は、地下の会場の何処かに囚われている人達を助け出す事だ。
潜入する為に、酒を搬入している業者に協力して貰い、俺達が代わりに搬入する事になった。
勿論、業界の服もちゃんと借りて着こなしている。
仲間はよく知っている奴らで、俺も含めて皆Bランク冒険者、アドルフ、フェルド、そして俺、ヴィリーだ。
エリアスは別に潜入し、幹部を叩いて行く。
協力者がいるらしいが、どんな奴かは教えて貰えなかった。
まぁ、エリアスがいれば大方大丈夫だろう。
闇オークションの会場は地下にあるが、地上一階ではこの闇オークションを偽装する為に、富豪達のパーティーが行われている。
そこでも酒は必要だが、オークション会場でも酒を振る舞うそうだ。
酒で皆気が大きくなって、高値をつけられても意地になって競り落とそうとするらしい。
つくづく悪どい考えを思い付くんだな。裏組織って奴は。
開場した。いよいよ潜入だ。
昨日、業者は既に大体の酒の搬入は済んでいたが、大量発注して貰えたから、残りの酒の搬入とサービスの酒樽を持って来た、と言ったら、外で見張りをしている奴らは喜んで中に通した。
通り過ぎる時に、見張りの奴らにはスリープの呪文で眠らせておいた。
眠った奴らを外で待機している他の仲間に任せて、俺達は中へ潜入していく。
このスリープの魔法を使いこなせるから、俺が今日の潜入に抜擢された様なもんだった。
地下の搬入口から手押し車に乗せた酒を持って進んで行く。
屋内地図は頭に叩き込んであるから、何処に何があるのかは既に分かっている。
ただ、何処に拐われた人達がいるのかが分かっていない。
ある程度の予想は出来ているが、こればかりは確認していかないと分からない。
幾つかある控え室に人の気配がすれば、そいつらを叩いて行く。
すれ違う者には頭を下げて、業者だと思って攻撃してこない状態にさせてから、スリープで眠らせ、近くの控え室へ投げ込む。
控え室には結界を張っていれば、簡単には脱出できない。
会場近くの、大きな前室に、恐らく拐われた人達がいるんだろう。
そう予想して、慎重に進んで行く。
進むにつれ、人が多くなってきた。
どうやら、この先に拐われた人達がいる様だ。
今までは戦闘らしい事はしていなかったが、この人数ではそれは避けられない。
酒樽に隠しておいた武器を手に取り、戦闘体制に入る。
「!!なんだ!お前ら!!」
剣を抜き、俺達に向かって来る奴らを叩き斬る。
次々と敵が集まってきた。
俺はスリープや麻痺の魔法が得意だが、魔力の関係でそう乱発は出来ない。
剣を振るいながら、横から襲いかかって来た奴にはスリープや麻痺で動かなくさせる。
アドルフは凄腕のアサシンとしても活躍している剣士だ。
特に、こう言う狭い場所等の戦いには優れた能力を発揮する。
ダガーを使いこなし、舞う様に敵の急所を狙い斬り、ほぼ一撃で倒して行く。
フェルドは魔法剣士と呼ばれる、万能型の剣士だ。
特に火魔法が得意で、小さく強力な炎の塊を狙い撃つのに長けている。
建物内で大きな炎の魔法だと火事がおこり兼ねないので、フェルドの火力を調整できる能力はこんな時こそ役に立つ。
それから、結界を張ることにも長けている。
フェルドは魔力が多いので、盾役としても万能だ。
集まってくる奴等を3人で殲滅しながら、前室へと進んで行く。
ここまでに約20人程を相手にしている。
相手にしたのは強くてもEランクに相当する奴だが、これからは更に強い奴が現れる可能性が高い。
足早に、しかし慎重に前室へ入る。
そこには想定通り、拐われた人達がいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます