第96話 大切な人


レクスが帰って来るまで、あまりこの場所を動きたくなかった。


暫く待ってたら、少しずつ日が落ちてきた。


まだ帰って来ないから、なるべくこの場所を離れたくなくて、少し脇に逸れて、そこで今日はテントを張る事にした。


レクスが美味しいと言ってくれたスープでも作ろう。


火をおこして、料理をし始めた。


料理を作りながら、レクスの事を考える。




どうしよう。帰って来なかったら……




私はまた一人になってしまう……




結局、自分の事しか考えていないのか。




こんな自分に呆れてしまう。




こんなに人と関わる事が出来ても、私は何にも変われていない。




情けない。




助けて貰ってばかりいるのに、何も返せていないじゃないか。




自分が情けなくて涙が出てくる。




目が潤んで、料理をする手元がよく見えない。




またすぐに泣いてしまう。




私は何故こんなにも弱いんだ。




誰かと関われば関わるほど、弱くなっていく気がする。




誰とも関わってはいけなかったのか。




幸せな気持ちも、悲しい気持ちも、寂しい気持ちも、嬉しい気持ちも、誰かと関わりができたから生まれる感情だったんだ。




それが良かったのかどうなのか。




今は分からない……




でも、レクスに会えて良かったと思っている。




私には、レクスは大切な存在なんだ。




それだけはどうしても伝えたい。




レクス、早く帰ってきて……






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