第56話 御守り
武器屋へ入る。
剣、槍、弓、鞭、ハンマー等、様々な武器が並んでいる。
この中でも多いのが、杖だった。
値段もピンキリで、初心者用から上級者用まで、幅広く取り揃えられていた。
武器を眺めていると、奥から店主がやって来た。
「いらっしゃい!
探している物でもあるのか?」
「いや、今使っている武器を見てほしくてね。
手入れを然程してなかったから。
どうだろうか。」
腰から剣を取り出して、店主の前に差し出す。
腰のベルトあたりが外套から現れた時に、装着していた短剣が見えた様で、
「お!兄ちゃんも石の効果に
と、ガハハッて笑って言い出した。
「いや、これは……あ、いや、そうなんだ。知り合いに着けると良いと言われたんたが、何が良いのか分からなくてね。良かったら教えて貰えないか?」
「なんだ兄ちゃん、知らなかったのか。これは、まぁ御守りみたいなもんなのさ。」
「御守りなのか?」
「大体のヤツはそんな感じで使ってるよ。赤い石は魔力強化、黄色は感性を向上させる、緑は怪我をしないよう無事を祈る、青は精霊の加護がつく、紫は……と、何だっけな、早く冒険から帰って来れる、だっけな?それから黒と白は売っている場所によって効果が違うから、よく分かってないんだろうけどな。色だけで選んでるヤツもいるしな。まぁ、御守りだから気休めさ。自分で買うヤツもいるが、恋人に無事を祈るように贈るのが定番だな。兄ちゃんも好い人に貰ったくちか?」
そう言いながら、またガハハッてっ笑った。
「まぁ、な。」
「お、良いねぇ!まぁ、殆どの物は只の御守り代わりだが、その石に魔力を込めて本当にその様な効果を付与している物も売ってたりする。
これはかなり高価になっちまうから、滅多に買うヤツはいないがな。」
「そうなのか。なぜ石が御守り代わりになんてなったんだろうか?」
「なんでもよ、大魔法使いの婆さんが、その石の御守りを広めたって話だぜ。理由は分かんねえけどな。特にこの街じゃあ青が人気だな。」
「なぜ青が人気なんだろう?」
「その婆さんが、着けている装飾品はみんな青の石にしているからさ。大魔法使いにみんな
「なるほどね。よく分かったよ。ありがとう。」
「3つも着けて貰って、兄ちゃんは愛されてるなぁー!」
またガハハッと笑う。
人の事なのに嬉しそうだな。
私を愛してくれる人なんていないんだけどな。
「……それで、この剣はどうだろうか?」
「あ、そうだった。すまねぇな。」
と言って手に取り、隅々まで目を凝らす。
「初心者用の剣だが、あまり使ってないのか?
全くと言っていい程ガタもなんもきてねぇよ。」
「そうなのか?」
「まぁ、これならまだ当分問題なく使えるよ。
それより、もうちょっといい剣使ったらどうだ?」
「いや、まだそんなレベルではないからね。この剣で充分だ。」
「そうか。まぁ、そうだな。あんまり初心者から良いモン持つのも良くねぇしな。」
「悪いな、何もなくて。」
「まぁ、この商売はそんなもんさ。気にするな。また用がある時来てくれよ!」
「あぁ、是非そうさせて貰うよ。」
そう言って店を出た。
石の御守りか……
言われている効果も、短剣に着いている効果に合っている様だ。
大魔法使いの婆さんとは、学園の校長のことだろう。
そして、青の石を身につけるている。
益々、大魔法使いに会わなくてはいけない気になってきた……
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