第44話 一羽
「 一羽 」
Aはその気配でいつも目が覚める
その気配はカーテン越しに
黒い影は右から左へ
そう夜の明ける方角へ
固い足爪で欄干を軽く踏んでいく
Aがカーテンを開けると
一羽は首をかしげ
左目でAに合図する
Aの気に入りの一羽
きょうも
尾羽根に夜を引き連れて
左の地平に飛んでいく
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