第32話 皿

「 皿 」


水に深さは無く

水は皿一杯にひろがる

水はどの位置をとっても均一で

しかも透明だから

皿の底はすぐに目に入る


わたしは皿底に絵を画いていた

赤い墨を

筆に付け

ぐるぐると

渦を画くように

外側から内側にまるめていく

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