第10話 八月

「 八月 」


近くの公園に立った

いつのまにか伸びてしまった草は

盛期を過ぎたシロツメクサの白い花を隠し

わたしの白い足を隠した


公園には

誰もいなくて

熱風がすべてを動かしながら吹いてくる

差し出したからだには

廂も

屋根もなく

むきだしで西日を浴びているほかなかった


唯一

公園の小高い丘にあるベンチには

ベンチの横にはクヌギの若木があり

沢山の実を枝に付けている

幹には

黒いアリが勢いよく這い上がり

ハナムグリが顔を埋めている

霞む千メートル級の山々

押し寄せる熱い大気

直角に向けたからだ

背中

群れ

方角

いつのまにか一日を相手にベンチに座ってい

 た


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