第20話
合州国軍南方大陸上陸。第1陣の歩兵師団は帝国に蹂躙されたものの、圧倒的な物量と組織力さらには火力で一進一退の攻防が続く。
筈だった。
合州国軍は海軍力を活かし、帝国海軍の潜水艦隊を回避突破。連合王国へと上陸した。
総撤退を余儀なくされさらには東部戦線では連邦軍による大規模反攻作戦バグラーチオ作戦によりヨシフグラードとゼバストゥーポリーが陥落しバグーからも撤退させられた。
帝国は戦線の大規模整理を決定するもここで変化が起こる。ルーデンドルフ上級大将閣下が解任され、決戦主義者のカイトル大将が参謀本部を掌握し撤退命令を取り下げ徹底抗戦を布告した。
ルーデンドルフ派閥は参謀本部や軍主流から徹底的に排除された。ノルマルディア方面で対大陸海峡を睨むロクソニア旅団、南方で活躍しつつあるイェーガー旅団の僅かふたつの部隊でノルマルディア方面の防衛任務を下された。パルドーカレー方面には4個師団が展開。合州国軍の上陸を警戒していた。
「准将閣下、どうなさいますか?」
「…どうするもこうするも無い。ルーデンドルフ上級大将閣下は退役されたし、俺も身を引きたい気分だ。が、そんな訳にもいかないだろう。整理するぞ魔導戦力は増強大隊が1に増強中隊が1、一応予備大隊を受け入れてあるがこれは役にたたん。空挺部隊は1個増強連隊程度。自走砲や戦車もそうだ。歩兵は2個連隊。火力はともかく数は師団程戦力も無い。一応、想定されている幾つかの上陸地点に対応する為に後方に師団が4だ。」
「正確な戦力は?」
「ヨードル中佐、歩兵4個連隊に装甲4個大隊、砲兵は4個中隊。魔導師は1個増強中隊だ。」
「失礼、という事は1個師団は1個連隊にそれぞれ1個ずつの支援部隊というわけですか?」
「そうだな。それも二線級、実質は無いものだ。それより当てにできるのは海軍だ。アルフレート少佐。」
重油の払底、対連合王国戦で大きく消耗した海軍は対連邦戦に向けて陸軍へ軍需が傾けられた影響で早々に制海権を奪われた。駆逐艦や潜水艦程度を動かせる余裕はあるが巡洋艦以上を動かす余裕は無い。
「はい、海軍より海峡防衛司令部から来ました。海軍は戦略家と名高いルーデンドルフ上級大将閣下の懐刀クロイス准将閣下を信用し41cm三連装砲二門と連装155mm砲二門を陸揚げして野戦重砲として運用します。余剰となった大型艦の乗員を訓練して今は2個連隊程の歩兵と2個大隊の海兵魔導師を閣下に提供します。」
「少佐、貴様の空挺大隊と一緒に扱いてやれ。」
「はっ!」
「今すぐに迎え!」
イェーガー戦闘団の空挺大隊長に訓練を行わせる。
「名目は海軍海峡防衛司令部隷下特設海兵師団の第1、第2連隊及び第171、172大隊だ。大隊のコールサインはウンディーネとザラマンダー。俺たちイェーガー戦闘団の増強大隊 はイェーガー。ロクソニアの増強中隊はロクソニア。これはマリア、お前が指揮を採れ。予備はリザーブだ、いいな?」
「はい!」
「海軍には主に揚陸艦や戦艦等を狙って欲しい。機雷敷設は可能だろうか?」
「やれます。一帯にですね?」
「ああ、頼む。残りはだ、鉄の杭を遠浅の海だ配置する。後方には地雷と海軍連隊を少し下げて置く。空挺部隊は全員地上に降りろ、戦車も移動式の砲として運用する。」
「予想される敵戦力は?」
「恐らくは6個師団。」
「海軍では敵艦隊は戦艦等戦闘艦艇1221隻。全てが砲火力を持つわけではありませんが最低でも数十位の戦闘艦艇がこちらに来襲するかと想定しています。」
「…敗戦は近いか」
「エリトリヒ大尉場所を選び給え。海軍、ローメル閣下にこれを手渡してくれ。」
「全速力で。今すぐに?」
「ああ、任せた。」
一礼し立ち去る。やれる事をやりきらないと。
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