第15話
まさか、首狩り戦術を思いつくとは!
赤共も頭を使えるらしい。まぁ、稚拙な連邦軍魔導師の事、意味も無いが。
「大佐。参謀本部より無電です。」
「感謝する憲兵少尉。」
《参謀本部戦務課発
東部方面司令部隷下第19軍司令部直轄
第101近衛魔導猟兵連隊司令部宛
貴官ノ立案ニヨリ大規模対連邦反攻作戦ノ開始ヲ命ズル》
†
「両閣下には、小官からクロイス大佐に代りましてご説明を。」
「うむ、任せる。」
「それでは、今回の大規模反攻作戦は失陥した領土の奪還は勿論。主目的は敵首都モスコーを叩くことによる、精神的破壊です。」
大佐殿によると赤共もの思考回路的にはモスコー叩く事は面子を叩き潰せて尚且つ、政権としても危うくなると。
勝てるなら価値があると。
「ふむ。詳しい戦闘計画はこれか?」
「はい、大佐殿直筆の資料です。」
沈黙がおりる。数十分後、2人の将官が顔を上げる。
「素晴らしい。これで行こう。」
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帝国空軍第447特殊輸送群。東部方面唯一の降下猟兵の特殊部隊展開用の輸送機隊。夜間侵入用の特殊戦仕様機を運用する彼らが動く時はただ一つ、秘匿性が重視される時のみ。赤のシンパが何処に入っているか分からんからな。
「連隊各位、無線封鎖、魔導封鎖を徹底せよ。降下まで後数分だ。」
4発の輸送機はそれぞれに1個大隊を載せ、3機と護衛の戦闘機6機と共に航行している。
ハッチが開き、降下を手早く完了する。優秀な各級将校が結集させ、モスコーをめざし、走る。モスコーまでは後、数十分で着くだろう。
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BBCニュースです。連邦崩壊の初めて首都モスコーで、かの大戦の戦勝記念日式典が行われました。連邦は機密保持の意識が高い国家で大戦中、帝国軍の魔導部隊が首都モスコーを急襲した際の記録映像は崩壊して初めて存在が知らされました。こちらをご覧下さい。
『ベルン01より戦友諸君。祖国は危機にある。裏切りだ。連邦は我らを裏切った。帝国領を侵し、臣民を弑し、守るべき銃後を屠った。皇帝陛下と祖国に忠誠を!裏切り者と愚劣な愚か者を叩き殺せ!中隊各位、進撃せよ。A中隊、醜悪な銅像を叩け、B中隊、赤の広場を焼き払え、C中隊偶像崇拝のミイラを蹴り飛ばせ。D中隊、シルドベリアを見渡す秘密警察を殲滅せよ。第二大隊、クレムリンへ向かえ。第三大隊、喜べ上空を遊撃戦だ。手当たり次第吹きとばせ!幹部らしきは殺せ。軍歌を歌え!国歌を歌え!クレムリンに軍旗を打ち立てろ!』
『『『『『『了解!祖国と皇帝陛下、大佐殿に勝利を!』』』』』』
『結構、散れ!』
そう、その瞬間、数多の対物爆裂式がトファチェフスキー像を吹き飛ばし、中隊分の砲撃術式が赤の広場を蹂躙したのです。クレムリンの星を粉砕し、炎上した屋上に帝国軍旗を堂々と打ち立てたのです!まさに寝耳に水。当時、連邦指導者トファチェフスキー元帥は握りしめたワイングラスを割り、激怒したとの事です。
『『『『『『『『Auf der Heide blüht ein kleines Blümelein
Und das heißt, Erika.
Heiß von hunderttausend kleinen Bienelein
Wird umschwärmt, Erika.
Denn ihr Herz ist voller Süßigkeit,
Zarter Duft entströmt dem Blütenkleid.
Auf der Heide blüht ein kleines Blümelein
Und das heißt, Erika.
In der Heimat wohnt ein kleines Mägdelein
Und das heißt, Erika.
Dieses Mädel ist mein treues Schätzelein
Und mein Glück, Erika.
Wenn das Heidekraut rotlila blüht,
Singe ich zum Gruß ihr dieses Lied.
Auf der Heide blüht ein kleines Blümelein
Und das heißt, Erika.
In mein'm Kämmerlein blüht auch ein Blümelein
Und das heißt, Erika.
Schon beim Morgengrau'n sowie beim Dämmerschein
Schaut's mich an, Erika.
Und dann ist es nur, als spräch es laut:
Denkst du auch an deine kleine Braut?
In der Heimat weint um dich ein Mägdelein
Und das heißt, Erika.』』』』』』』』
エーリカ行進曲を高らかに歌い上げる帝国軍魔導師の姿が記録されております。その直後、赤の広場に帝国国旗が高く掲げられ、高らかに文章が読み上げられております。
『帝国軍ベルン魔導連隊はここに、モスコーの帝国領併合を宣言する!』
軍人という物は得てして誇り高い物で、トファチェフスキー指導者もそれは変わりません。目前で自らの支配する国家の首都が敵国にしかも、少々圧倒しつつある敵国に首都を併合したと宣言されるのです。その怒りや如何程。私ならばその報告を聞いた指導者と同室には居たくありませんね。
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「…ルーデンドルフ上級大将閣下、以上が東部方面司令部から無電です。」
「……本当にクロイス大佐は連邦首都を直撃したのだな?」
「はっ。特殊輸送機隊には敵地深部浸透の為の輸送を要求したとの事。連邦首都直撃を知っていたのは、直前に知らされた第19軍レップ、ハルダー両閣下のみとの事。」
「クロイス大佐の連隊を帝都に呼び戻せ!」
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「ヨハン・リッター・フォン・クロイスを伯爵位へと陞爵する物とする。准将へと昇進おめでとう。」
「はっ!祖国と陛下に忠誠を!」
「私もすっかり抜かれたな。」
「アマーリエ殿下なら、負傷さえ無ければまだまだ昇進されていたと思いますが。」
「参謀本部からだ。私の名を冠した新編混成旅団だそうだ。」
アマーリエ・ロクソニア・フォン・ブランデスブルク=プルーセン。ロクソニア混成旅団戦闘団ね。
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