第7話
私が拘束された部隊に編入されたのは数日前。曰く私を落とせた人間のいる部隊なら何とかなるだろうと。
「おはよう。シャルトル」
「お、おはようございます。」
彼が私を撃墜した魔導士官。ヨハン・フォン・クロイス大尉。私を撃墜した功績で男爵位を得たと聞いた。
「あの、私を嫌わないのですか?」
優しげな態度。あの時、私を堕とした時とは全然違う態度。
「君が本気でやっていたとは思ってない。目を見れば分かるものさ。我が大隊に君を不当に嫌悪するものは居ない。徹底させておいたから気にする必要は無い。」
「何故そこまで、私に対して。」
「全て聞いたからだ。君が隷属術式で帝国に亡命しようとした所を無理やり従軍させられた事も。アマーリエ殿下が皇帝陛下に直訴して帝室が君に帝国籍を与えた。君は帝国臣民であり、俺達の仲間だ。軍上層部とは話を付け君が俺の直属から離れないようにしている。君に予定されていた、従属術式の付与は永久に中止。計画は破棄された事を確約しよう。」
「か、感謝します。」
その言葉をギリギリ捻り出すと後は言葉にならず嗚咽と涙が零れるばかりであった。
そんな私を慰め、頭を撫でてくれたのが大尉だ。私は彼について行く。彼のお陰で私が居る。
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ブリーフィングルーム。我が大隊は即応第一独立遊撃大隊として再編された。額面では減少したが、戦力としては以前より強化されている筈である。
「これより我々は西方方面軍の指揮下に入る。これより我々は即応軍西方増派第一機動打撃軍団の司令部隷下に入る。マリア少尉、貴官には共和国方面戦線という事で、従軍を免除する余裕はある。如何かな?」
「はっ!私は問題ありません。戦闘へ志願致します。」
「よろしい。結構だ。これより作戦概要を解説する。一応軍機のため口外する事の無いように。」
第一作戦Trübung und Einleitung
帝国軍をネーデルクス方面へ展開しマージン線を迂回し北部を制圧する
第二作戦Vernichtung und Ehrfurcht
新規開発の多連装ロケット砲兵によるマージン線への打撃。
第三作戦Hegemonie zum Ozean
北部沿岸を完全に確保し連合王国の援軍阻止と想定される共和国軍の植民地や亡命政府要因の離脱を阻止する。
第四作戦Zwillingsschlange essen
偽電作戦による大規模な欺瞞行動を行い、連合王国艦隊による残存共和国艦隊への攻撃を行わせる
アマーリエ殿下と俺の共同立案による作戦は全てが認可され攻勢計画第40号として認可された。
「題名はルーデンドルフ閣下の命名だ。」
「大隊長殿!我々への命令は?」
「ケーネン中尉、気になるか?喜べ!我が大隊は全西方軍120万将兵の最先鋒たるぞ!」
「何たる光栄!ルーデンドルフ閣下は我らに復讐の機会を与えて下さった!」
半数以上が共和国軍上陸作戦で落とされた部隊。共和国への復讐心は溢れている。
「通信号はバビロン。」
「目には目を歯には歯を!復讐するは我にあり!共和国へ復讐を!」
「帝国に勝利を!共和国を叩き潰せ!」
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