第3話
参謀本部内に誂えらて執務室。帝都勤務なのは良いのだが、違和感しかない。こんなにトントン拍子で進んでいいものかと。
開戦間近と目される北方管区。展開中の一個軍団に増派で二個軍団送り込み計15万の兵力との事だが参謀本部はそれ以外に参謀本部直轄の即応軍司令部を創設しそこにアマーリエ少佐の新編航空魔導大隊を配備するらしい。
これは参謀本部戦務課長ヨアヒム・フォン・リットン准将が提唱し実現したとの事。
編成号はV600号大隊編成局。人員は東方からと言う制限は有るが新型の演算宝珠に現在新開発のライフルを優先的に割り当てると訓示を受けている。
「それまではMP38ですか。何故G11等でら無く、短機関銃?」
「上は半自動ではなくフルオートの運用実験がしたいらしい。新規開発のライフルはフルオートだぞ?Sturm-gewherと言うらしい。」
何時になる事やら。
「少佐殿、現実逃避では解決しませんね。」
求めた基準は一般の帝国軍魔導師より少し上の程度。精強なる帝国軍なら求めても常識的と上層部も認めた物だ。
「ああ、精強神話は昔の話だな。」
単純な詐術。志願者は150名それぞれ2人1組で試験したところ現在半数が終わった所。
合格者は10名。東方軍のメインは元々対連邦で現在同盟関係にあるからと言ってダキアとは現在関係は良好と言えないと言うのに練度の低下著しい。
「リットン閣下に問い合せます。直ぐに報告書を上げます。」
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ヨハン・クロイス少尉卒業論文
«総力戦から発展すると考えられる世界大戦»
《帝国と連合の両国間の戦争は間違いなく共和国との戦端を開く事となる。そして共和国との戦闘は総力戦の形態を取ると考えられる。何故なら、列強として単独なら他の列強を圧倒できるであろう帝国に対する戦争は必然的に人的・物的資源を加速度的に消費する総力戦の形態を取らざるを得なくなると考えられるからである。共和国圧倒確実若しくは圧倒した時点で連合王国やダキアの介入は避けられないものとなる。そこから雪達磨式に加速していき消耗に耐えられなくなった国家から脱落していき、最後に耐え切った国家こそが勝者となりかねない。故に勝利ではなく持久こそが必勝の一手なのである。》
参謀本部で囁かれていた世界大戦論、それを確信するという内容を出した少尉候補生。
その候補生、今は少尉に報告が有ると上申があった時は好機と思ったものである。
「失礼します、ヨハン・クロイス少尉入室します!」
「何事だ?」
18と聞いているがそれ以上にもそれ以下にも見える不可思議な見た目、完璧な敬礼は非の付け所が無く褒めるしかない。
「はっ、アマーリエ少佐からの報告であります。1.東方軍魔導戦力の練度低下著しく実験として中央の半数が通過した試験を70名中10名しか合格しておりません。」
一瞬何を言っているか分からなかった。同時に理解したくなかった。
「何と、何といった?」
「はい、リットン閣下帝国軍魔導師の練度低下が著しいと申し上げました。特に東方軍であります。記録には帝国の母体となったプローシア王国と第二次帝政ガリアとの戦争時には簡単に見抜けた詐術と記録されております。」
伝統的な帝国軍魔導師評価基準。それに突破出来ないと?評価基準が古臭い誰にでも出来るならまだしも評価基準満たないと?
「エイプリルフールならば過ぎたぞ。」
「アマーリエ少佐はそう言われると言っておりました。現実逃避を辞めて頂きたい。」
クソッタレめ。
「半分残っているのだろう。残りの視察に私も付き合う。」
白々しく一礼しこちらにと示す。
悪夢だ。
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