第11話 赤い泉

「えっ…何これ…」


フェルナンドは、赤く汚濁した泉を覗き込んだ。


「ここ…青い泉の森…だよな…。

…何で…泉が赤いんだ…?

えぇ…こんなだったっけこれ」


「んなこといってる場合かよ!」

モナモナがフェルナンドの頭をはたき、背中から飛び降りた。

「ケルベロス迎え撃つのに…ほんと何なのお前」


フェルナンドにそっと下ろしてもらったクラリッサ。

「でも、モナモナ…これ…」

彼も泉を気にかけた。


「この赤い水…さっきの、まだらの花と同じ魔力を感じる…。ケルベロスとも似てる。

あのケルベロス、この水に影響されてるんじゃないかな…」


クラリッサの言葉に、モナモナの表情が凍る。

「…んじゃ…ただの汚い水じゃなさそーだな、コレ」


フェルナンドは、もう一度赤い泉に目をやる。


とにかく、濁りすぎだ。

泉の底なんて全然見えない。

何というか…ケチャップと水を1:1の割合で溶かしました!という感じの見た目というか…

とりあえずヤバい奴だと思う。


この水で育った花が薬草を蹂躙し、この水に何らか影響されたケルベロスがあんな感じだったりするわけで…。


フェルナンドは、つい考えてしまう。

「…赤い水…

どんな効能があるんだろうな…」


「効能~~~???

テメー温泉みたいな言い方すんじゃねーよ、沈めるぞフェリィ」

モナモナの、ジト目…。


「あっいや、そういうつもりじゃ…

でも何か効果はあるよね?きっと」

「あ??お前これ飲むのか??お???」

「………」

「…えっ?!いや黙るなよ!

そこで考えてんじゃねーよ!バカ!」



その刹那。

モナモナの言葉の末端にかぶさるように、3つの頭の咆哮が上がる。


ジェスターは大丈夫だろうか…。


フェルナンドはいよいよ腹をくくる。

時が、すぐそこまで来ている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る