夜、だった

 深み、に、降りるために

 言葉になる前のこころ、をつかむために

 宙に出現した腕で

 脳を内側から叩く

 夜、だった

 獣が、哭いて、いるような

 手紙をめくった風、が

 唖者のように黙る

 その夕べ

 窓は半開き

 街灯の光はフローズンカラー

 たばしる月光はミルキーホワイト

 神はシリウスに出張中

 疼いて、いた

 奥が

 軋んで、いた

 骨が

 書棚を埋め尽くす毒ある思想

 他者という災い

 ひとり、だった

 夜に

 人間は

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