第21話 春の学祭では『ニャンニャン喫茶』をやることになった
朝のホームルームで話し合った結果。
春の学祭では『ニャンニャン喫茶』をやることになった。
男性陣は可愛らしい猫の着ぐるみ。
女性陣はセクシーな猫のコスプレ。
ウエイトレスをやることが決まった。
ちなみに俺は『材料の買い出し班』の『荷物持ち』だ。
もう
朝のホームルームで方針は決まっているので、あとは具体的な作業の指示とスケジュール管理は、姫川さんが行っている。
相変わらず完璧な統率力だな。
メニュー作りは『調理部』に、衣装は『手芸部』に発注してあるので、残りは教室の飾りつけだ。
「ニャンニャン喫茶っていうくらいですから。
食器なども、猫の絵柄が入っているモノで、統一したいわよね」
ありさちゃんが意見を述べる。
それを聞いた俺は、社会性がまったく
感慨深いものを感じた。
「そうよねぇ。
衣装だけじゃなく、カーテンや絨毯、テーブルクロスにいたるまで全て、ネコちゃんの絵柄が描かれたモノにしたいわよね」
発案者の姫川さんも同意の声を上げた。
「それから『猫と触れ合える』スペースも欲しいですよね」
「それともいいアイディアですね、みちるさん」
「ありがとうございます、理沙さま」
「姫川さん、こっちの提出書類は、これでいいのかしら?」
女子生徒Aが理沙に質問する。
「えっ、ああっ!? ちょっと待ってねぇ……ええと、うん、これで大丈夫よぉ」
今日中に生徒会に提出しなくてはならない書類のようだな。
俺は、周囲を見渡すと女子は女子で、男子は男子でいくつのグループができていた。
教室内の飾りつけ班と教室外の飾りつけ班などだ。
その他にも教室の掃除や宣伝用のポスターの作成など、やらなければいけない仕事は腐るほどある。
スペースを確保するために机や椅子を空き教室へと運び終えると。
「王子様、理沙さま。
申し訳ありませんけど、メイドの仕事がありますので。
妾は、お先に失礼させていただきます」
教室外の装飾をやっていたありさちゃんが帰り支度を済ませ。
挨拶をしてきた。
「気をつけて帰るんだよ、ありさちゃん」
「こんな遅くまで手伝ってくれてありがとうね、ありささん」
今、教室に残っているのは、俺と姫川さんの二人だけだ。
今日はあらかじめ延長届を提出してあるため、普段よりも一時間遅くまで校内に残れることになっていた。
他のクラスは通常通りの下校時刻のため、校内に残っている生徒は、おそらく俺たちだけだな。
「隣のクラスは、劇をやるみたいよ」
「へぇ~そうなんだ。
演目とか? わかるかな」
「確か『シンデレラ』だったかしら」
「ザ・高校の学祭って、感じだな」
「他には、お化け屋敷とか、クイズ大会とか、宝探しゲームなんかもあって、今から当日が楽しみだわ」
「ああ、そうだな。
どこのクラスも大量に段ボールを使うみたいだな。
そのうち、段ボール争奪戦みたいなのが、勃発しなきゃいいんだけどな」
「そうねぇ。
ウチのクラスも結局、段ボールでネコと触れ合う広場を作ることになってしまったものね」
猫がケガをしないようにと、床には段ボールが敷き詰められている。
俺は、カフェエリアと猫と触れ合えるエリアを仕切る、パーテーションにネコのイラストがプリントアウトされた壁紙を貼り付けていく。
こまごまとした書類作成は、すべて姫川さんに任せている。
++++++++++++++++++++++
「姫川さん、俺たちもそろそろ帰らないか?
もうクタクタだよ」
午後7時を回り、俺はたまらず叫び声をあげた。
「お疲れ様。
露璃村くんは先に帰っていいわよ」
パイプ椅子から立ち上がり、俺の鞄を手渡してきた。
「何でも一人でやろうとするは、姫川さんの悪い癖だぞ」
「でも私が言い出したことだから」
「なら、俺も手伝うよ」
「ありがとう、龍一」
姫川さんは再び席につき。
いつものように大胆に脚を組む。
自分の脚線美に自信があるからこその座り方だ。
足元に鞄を置き、俺も席につく。
生徒会へ提出する書類を2人でまとめ上げていく。
「学祭もいいけど……やっぱり『球技大会』もやりたかった。
女子バレー見たかったな」
「どうせ、ブルマ姿が見たかったとか。
そんな不純な動機でしょう」
「バレー選手には、ぜひともブルマを履いて欲しいと想っているのは事実だから、否定はできないけど……。
でもブルマが一番似合うスポーツ競技だと思うんだよな。
だから俺は断然『体操服の裾をブルマの中に入れる派』だ。
下半身が隠れてる方がいろいろと想像がかき立てらてるし、そこから覗くブルマがまたいいとか、支持する奴らもいるが邪道もいいところだぜ。
いまやブルマは迫害され、この日本では絶滅危機に瀕しているわけだけどな……もともとは、女性解放論に基づく『革命』だったんだよな。
女性が女性のために考え出した、実に素晴らしいユニフォームなんだよ」
「口を開けば『ブルマ』の話ばかり。
私はブルマ教の信者ではないし、入信するつもりもないわぁ」
波打ちながら腰まで流れる、長い金色の髪。
陶器のように白い肌。
すべてが絶妙なバランスで配置された、綺麗な顔。
椅子に座って腕組みする彼女は、口こそ笑っているものの、目は欠片も笑っていない。
背筋を強烈な悪寒が走り抜ける。
「でも好きだろう、ブルマ」
何の迷いもなく言うと、彼女は頬赤らめ、そっぽを向きながら
「そうねぇ、嫌いじゃないわよぉ。
短パンよりは動きやすいし、フィット感がまったく違うし、空気抵抗を受けないという利点もあるわねぇ」
何だか妙に恥ずかしそうに、ミニスカートから覗く太ももをそれとなく擦り合わせて、吊り上がっていた理沙の目尻がふっと緩んだ。
「一度でも履いたことがあるヒトなら、この気持ちをわかってもらえると思うんだけどねぇ」
「それだけ機能性に優れているのに、どうして普及しないのかな」
姫川さんは、月みたいに神秘的な
制服の上からでもはっきりとわかる上品な膨らみに手を当てて
「デザインが古臭いのと、龍一みたいな変態がいるからじゃないかしら。
ブルマ姿のまま四つん這いになって体育館を雑巾掛けを強要されたり、ストレッチの時に太ももやお尻なんかを舐め回すように見られたり。
あとは考えられる理由は、AVの影響でブルマは『卑猥な服と』いう固定概念が定着ことなどあげられるわねぇ」
顔からスっと朱が引き、強張った表情で質問に答えてくれた。
「つまり変態体育教師のせいで、ブルマは廃止になったってことか」
「悲しいことだけど、否定はできないわねぇ。
ブルマに性的な魅力を感じないと言ったらウソになるしねぇ。
何度『悩殺』されそうになったことか?
特に『赤ブルマ』には、キングオブブルマの称号をあげたいぐらい大好きよぉ」
耳にかかった毛先までつややかでさらさらと美しい髪を、優雅に掻き上げながら尋ねられたので、俺はコクッとうなずき。
「なんて恐ろしい服なんだ。まさに『魔性』の服ということか」
「危険な服なのは、間違いないわねぇ。
試合相手がブルマを履いてきたら、私は興奮して集中できないまま、あっさりと負けるわねぇ」
思わせぶりに目を細めて、ふふふと笑う姫川さんの姿を見た俺は、学生鞄から赤ブルマを取り出し。
「ブルマ姿での『回転レシーブ』が特に好きだな。
落下スレスレのボールに向かって飛び込み、右手で拾い上げた直後に一瞬見せる……回転しながらの大開脚。
後ろから見れば、激しい動きにずり上がったブルマがお尻の溝にギュッとTバックのごとく食い込み。
下着のフリルや、プリプリとした柔らかいヒップの一部が飛び出し。
着地後に立ち上がって、ブルマを直すしぐさが好きなんだよな」
「へぇ~~~」
「そこでお願いがあるんだが、これを穿いてくれないかな」
姫川さんに見せつけるように、机の上にブルマを置く。
「い、嫌よぉおお」
「頼む。このとおりだ!?
俺は……どうしても姫川さんのブルマ姿が見たいんだよ」
片手腕立て伏せを始める。
姫川さんは俺の汗の匂いが、好きみたいだからな。
きっと、いい交渉材料になるはずだ。
汗が染み込んだこのワイシャツを上手く使えば、きっと姫川さんのブルマ姿も見られる。
なぜなら、彼女の顔がそれを如実に物語っているからだ。
++++++++++++++++++++++++
交渉の結果。
姫川さんはブルマを穿いてくれた。
腰から下は、股のラインをピッタリと覆うブルマは、張りのあるお尻を窮屈そうにかろうじて収めている。
「は、恥ずかしいから、そんな……マジマジと見ないで」
肉付いた下半身に軽く食い込み、どれだけ尻と腰が柔らかいのかが一目でわかった。
脂の乗ったお尻というよりは、健康的な桃尻といった感じだな。
若さ全開の弾けるような弾力感が、年頃の色香と肉づき具合をばっちり表しているな。
首元まで真っ赤に染めて、プルブルと震えているのだ。
まさに見る者の目を釘付けにせずにはいられない『完璧』な悩ましさだ。
「真っ白なポロシャツと赤ブルマの組み合わせは、最高に萌えるな」
チラリっと上目遣いで覗き込んでくる彼女の顔は、怯えた子猫のようでとても愛くるしく。
もっともっとイジメたくなってしまった。
俺はポケットからスマホを取り出し、写真を撮る。
最高の一枚が撮れたな。
やっぱり姫川さんは、とびぬけて美少女だと思うな。
「許可なく写真を撮るな。
この変態野郎がぁああっ」
姫川さんの声が教室中に響き渡り、肉付きのいい健康的な太ももが飛び込んできた。
俺の目に映ったモノは『学校指定の上履き』だった。
高々と振り上げられた彼女の踵が眼前にあり、頭蓋骨を砕かんと言わんばかりの勢いとスピードで、俺との身長差を補うためか、渾身の垂直ジャンプ付きだ。
いわば『ジャンピング踵落とし』というヤツだ。
「何、避けてるのよぉ!? ば、バカぁああ」
続いて、必殺の回し蹴りが飛んできた。
「ぐはぁっ!?」
わき腹に凄まじい痛みが走る。
「ごめんねぇ、露璃村くん。
つい脚が出ちゃった。
あまりにもキモチワルイ顔をするから」
「無断で写真を撮ったのは悪かったけど……なにも蹴ることないだろう」
「だからごめんって、謝ったじゃない。
露璃村くんじゃなかったら、捻り殺していたわよ。
こんな恥ずかしい姿……」
姫川さんは悲し気にうつむき、頬を伝う涙を見た瞬間、俺は……。
「わ、わかった……もういい!?
この話はもう終わりだ」
「じゃあ、もう着替えてもいいわよね」
部屋を追い出されてしまう。
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