第16話 希世美へ

小川洋子は 余白の愛 の中で小麦粉についてこう語っていた。

「純白でべとつかなくて 風に紛れて消えてしまうような、はかないところが」

希世には、そうなってほしくない。

べとついて欲しいし、風に紛れて消えてしまうなんて、まっぴらごめんだ。


いっときは、別れてしまった僕らだけど

二人での生活を忘れたことなんかない、

希世の名前 希望の世の中美しい。

僕は今でも、埋れゆく日常の中、キラキラと光る日常の中 、希世を感じて、時に涙して

時に君の愛に驚いたりして。過ごしているよ。

もし、希世が僕のことがわからなくなっても

安心して、俺は君を愛してる。

まだ、迷ってしまうかもしれない。

でも、忘れないで、心の中で約束した、7000年のうち、まだほんの20年さ。

それにいうと、今の俺は7000年なんかじゃなく、永遠に希世を愛したいと思っている。

僕にとっての小麦粉は希世の作ってくれた、ビーフストロガノフだよ。

希世美の作ってくれたご飯は、母を超えていたよ。

俺が今まで食べたどんな、ご飯の中でも

全て1番なんだ。

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