ゴロリーマン

小川貴央

第1話 あおり運転

人情肌で御人好し、正義感が強く、それでいてどこか風変りな偏屈硬派!

人呼んで“ゴロリーマン”が今日も行く!!



1、 煽り運転


ある日、広くも無い田舎バイパスをわざとらしく、ゆっくりクルマを走らせる

若い男、見ればフランス車っぽいマークの高級そうなセダン。


堪らず追い抜くと、逆にグングン近づき見る見る衝突しそうな程に接近し煽る。


ゆっくりブレーキ踏んで停車する、ほれほれ後ろにピッタリ停まりドアを開け

「何や、コラ!オラオラー!」怒鳴り散らしながら寄って来たチンピラ野郎。


静かにドアを開け俺は降り立った時、チンピラ野郎は「何じゃい、こ・・・・」

暴言と動きがピタリと止まり硬直したまま~、


俺はゆっくり「何か、わしに用があるんかい?」と穏やかに尋ねると若い男は緊張した様な状態で「い、いや別に、な、何も・・・・」と。


俺は再び「兄さん、命は大事にせな、あかんで!のう~、安全運転でな!」

チンピラ男は「あっ、は、はい、・・・」


空かさず逃げる様に自分の外車に乗り込み猛烈なスピードで走り去って行った。


何であの野郎は急に言葉も動きも止まったんや?と思ったが、ハッと気付いた。

「ああ、そうか、この黒いYシャツに赤のネクタイに目が留まったんかい?

 ほう~、まあ、ケンカならんで良かったのう~」



田んぼの稲の鮮やかな緑が目に優しい農道をゴロリーマンは安堵の気持ちで、

のんびりとクルマを走らせて会社に向かった。

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