第1話:はじまりの始まり
そう思っていると、どこからかニィニィと猫の鳴き声がした。
「澄兄ぃ…「あそこの木々の方からだな」
澄兄ぃも気付いていたようだ。
ベンチから離れ、猫を探す。
『ニィ‼︎』
「いたぞ‼︎」
澄兄ぃが見つけた。
白と茶でふてニャンみたいな色の子猫が桜の木の枝にいた。降りれなくなったみたいだ。
「俺が助ける。澄兄ぃは肩貸して」
分かっているとばかりに澄兄ぃは俺を肩に乗せた。
木の枝に手を伸ばす。届かない。俺は澄兄ぃの肩から近くにあった木の枝に足を乗せて、木に登った。
「颯輝、気を付けろ!」
「大丈夫…たぶん‼︎」
そう言い、俺は子猫がいる枝に登った。
『ニィ、ニィ‼︎』
「もう…ちょっとだから…‼︎頑張れ…‼︎」
そう言い俺は子猫に手を必死に伸ばした。
中指に子猫の柔らかな毛が当たったのが分かった。そして子猫をこちらになんとか引き寄せれた。だけどその瞬間…
ズッ…‼︎
俺の手が木から離れ、身体が重力に従って落ち始めたことに気がついた。
え、やばい。俺、死ぬんじゃ…⁈
そう考え、思わず左手で子猫を庇い、右手を伸ばす。
すると、どこからか手がこちらに伸びてきた。
俺はその手を迷わず掴んだー
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