不思議な先輩の観察日記

みやび

先輩とお昼寝

私の学校には不思議な先輩がいる。


短髪に長身で、引き締まった身体。

顔は……私個人としては格好良い方だと思っている。


だけど、先輩がどんな人かと聞かれれば

変人、不思議、天然、奇人……などなど。


いわゆる、私達が思う普通の人の枠にハマらない人なんだと思う。


…………。


何故、今、こんな事を思っているのかと言うと、その先輩が目の前にいるのだ。


そう、目の前に。


学校にある車椅子用のスロープの真ん中に寝ている。


……なぜ?


「……先輩、何やってるんですか?」


「ん~?日向ぼっこ。」


そこで寝てると危ないと思う。


お昼休みだからと言って、人が全くいない訳でもなく、先輩がここで寝ているからか、皆はわざわざ迂回している。


「……そうですか。」


「君も一緒に日向ぼっこする?太陽がぽかぽかとして気持ち良いよ~。」


「この坂の真ん中で?」


「うん~。この坂道は丁度良い傾斜なんだよね~。」


「そうなんですか。」


「この角度が良いんだよね~……。」


先輩、喋りながら目を閉じて寝ようとしないで下さい。


「オルゥアァァア!!てめぇ!こんな所にいやがったか!!」


叫びながら、と言うか怒りながら現れたのは先輩の友人。

よく一緒にいる人で、先輩の保護者的な存在として周りからは思われている。


「よう、後輩。」


「こんにちは。」


私に気が付いた先輩の友人は、私に挨拶をした後、先輩に詰め寄る。


「てめぇ!俺の弁当にチョコ入れただろっ!」


「うん~?美味しかったからお裾分け~。」


「何でわざわざ中に入れた!?」


「お昼のデザートに?」


「チョコが溶けて弁当がチョコまみれなんだよ!!」


「チョコフォンデュだね~。」


先輩は相変わらずだなぁ。

お弁当とチョコは……合わなさそうだなぁ。


こんな所で寝てたら危ないと思って見ていたけど、保護者が来たからもう大丈夫かな。


「それじゃ、お先に失礼します。」


「おう、いつもありがとな、後輩。」


「またね~。」


私は二人の返事を聞いた後、その場を離れる。


「ねぇ、せっかくだから膝枕して~?」


「誰がやるかよっ!」


「ん~、なら一緒に寝る~?」


「てめぇ!その前に俺の弁当はどうしてくれんだよ!」


「……購買に行く~?」


「はぁ……たくっ。ちょっと行ってくるわ。」


「あ、僕の分もお願い~。」


「はぁ?」


「今日、お弁当忘れた~。」


「お前は自由かっ!!」


少しずつ遠くなる先輩達の声に私は思う事がある。


二人で、末永くお幸せに。













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