第382話14-7試練の間で
14-7試練の間で
「はぁぁっ!! ガレント流剣技三の型! 雪崩!!」
ティアナが放ったガレント王家の秘伝剣技が炸裂する。
気合一閃床に放った一撃が足元に大量の礫を発生させそれがまるで雪崩のようにミスリル水銀で出来たジャイアントスネークのゴーレムたちに襲いかかる。
どどどどどどどどどぉぉっ
そして無数の石礫に魔晶石はさらされ何個か破壊したもようだ。
「そこっ!」
端に逃げたジャイアントスネークのゴーレムにシェルは矢を放ち寸分違わず魔晶石を破壊する。
ヒュンっ!
とすっ
パキーンっ!
ばっしゃぁーんっ!
「ふう、どうやら片付いたようだな?」
ショーゴさんはなぎなたソードを振って刃についた汚れを振り落としてからそれをしまう。
「全く次から次へとしつこいでいやがります!」
どうやらクロエさんも片付いたようだ。
服の埃を払いながら戻って来る。
「でも本当に次から次ですねお姉さま、これで何回目でしたっけ?」
あたしは既に両手の指より多く遭遇しているここの守護者たるミスリル水銀のゴーレムたちとの戦いを思い出す。
モンスターのオンパレードだった。
それはそれは嫌らしいやつから実力派のモンスターまで様々。
しかもそれらは特に守る部屋や扉が有るわけでは無いのにあたしたちの行く手を阻む。
「とにかく今は進むしかありませんわ。先へ行きましょうですわ」
あたしはそう言ってまたみんなんと先へと進んで行く。
* * *
「どうやらやっと最深部のようですね?」
ティアナはそう言ってその歩みをいったん止める。
そこだけは通路が広くなっておりその先に有る扉までにこれ見よがしに左右に甲冑が立ち並んでいる。
「いかにもって感じね? エルハイミどうする?」
「どうせこれらの甲冑とは戦わねばならないのですわ。行きますわよ!」
あたしがそう言うとみんなはさっそく先手必勝で左右に立ち並ぶ甲冑に攻撃をかける。
技が、魔法が甲冑たちをなぎ倒し始めるとお約束通りこの甲冑たちは動きだ出してあたしたちに襲いかかって来る。
「面倒でいやがります! 喰らえ【ドラゴン百裂掌】!!」
クロエさんが魔晶石狙いで無く数の多い甲冑全体に攻撃をかけ吹き飛ばす。
そしてティアナが、ショーゴさんが、そしてクロさんやシェルが各個を撃破していく。
ばしゃぁーん!
ばばしゃぁーんっ!!
やはり今までと同じミスリル水銀で出来た甲冑のゴーレムたちはコアである魔晶石を破壊されると水銀と変わってその場ではじけて流れる。
「あと少し! クロ、クロエ殲滅せよ!」
「はっ! 黒龍様!」
「お任せください黒龍様!!」
クロエさんとクロさんは踊るようにこのゴーレムたちを始末していく。
「流石だな、後は任せてもいいだろう」
ショーゴさんはそう言って刀の汚れを振って奇麗にする。
その横でティアナも剣を鞘に納めている。
そしてほどなくクロさんとクロエさんは最後の一体まで始末していった。
「ご苦労様です、クロ、クロエ。さあお母様扉へ」
コクにそう言われあたしとティアナは扉の前に行く。
「ティアナ、多分この先は試練の間ですわ。ここから先は私が行きますわ。きっと前と同じ試練だと思いますので」
「しかしエルハイミ‥‥‥」
あたしはティアナの口に人先指を押し付けてそれ以上言えないようにする。
「大丈夫ですわ。ご先祖様の試練は慣れっこですわ。ここは私に任せてくださいですわ」
あたしはそう言ってとびらに手をかける。
開かれたその部屋には他の杖と同じく宙に浮いて輝いた「女神の杖」が有った。
そしてまたあの試練が始まった。
あたしはその杖に手をかざす。
するとまたあの声が聞こえてくる。
―― 汝、何故この杖を欲するか? ――
魔法王ガーベルの声だ。
あたしはあの時と同じく応える。
「私はこの世の混乱を引き起こさないためにこの杖を欲しますわ!」
あたしがそう答えるとガーベルの声はまたあたしに質問をする。
―― 汝、この杖を持つに値するや? ――
「我が名はエルハイミ=ルド・シーナ・ハミルトン! この世の平和を願う者! その杖、必ずや我が元にて使いこなして見せますわ!!」
―― ならば試そう、杖を握るがいい ――
そう言われてあたしはその杖を掴んだ。
* * *
「これが光の女神ジュノー様の杖ですか」
ティアナはあたしが回収してきた「女神の杖」を渡されてしげしげと見ている。
杖一つ一つは強力な女神に由来する力を使えるがそれ以外に特には影響がない。
とりあえずこの部屋自体もシェルやイオマが調べていたみたいだが杖以外は特に何も無くどうやら今回の目的は達成できたようだ。
「ここまで大体半日弱ですか? 戦闘を差し引けば地上に戻るにはもっと早く行けそうですね」
ティアナは「女神の杖」をあたしに渡してきながらそう言う。
確かにそのくらいで地上に戻れるだろう。
こんな所でわざわざ一晩過ごす必要も無い。
「撤収ですね、お姉さま?」
「エルハイミ! 街に戻ったらあのドーナッツまた買いに行こうよ!」
「お母様、それには私も大賛成です! 是非に!!」
イオマはこれから戻るのにもう一度装備や保持品の確認をしている。
この辺は元冒険者らしい。
マリアやコクは既に地上に戻った後の事を話している。
確かにあのお店にはあたしももう一度行きたいけどね。
「ほとんどゴーレムを倒したからと言って気を抜いてはいけません。さあ、地上へ戻りましょう」
ティアナがそう言ってあたしたちは来た道を地上へ向けて戻るのであった。
* * * * *
「あ、どうやらまだ外はかろうじて明るいようですね、お姉さま!」
あの後あたしたちは何回か戦闘はしたものの特に問題も無くもう少しでアラージュさんたちバックアップのいる設営拠点に戻れる。
「エルハイミ! 戦闘をしている音よ!!」
しかしあと少しと言う所でシェルが警告を発する。
アラージュさんたちが魔物と遭遇でもしたのか?
とにかくあたしたちはそれを聞き慌てて出口へと走っていく。
* * *
「おーっほっほっほっほっほっ! 連合の精鋭とはその程度ですの!?」
戦闘音のする方へと入って行くとあたしはどこかで聞いた事のある高笑い声を聞いた!?
「エルハイミ、あの声って!?」
「あの声は忘れもしませんわ! ジェリーンですわ!!」
そう、あたしたちは瓦礫の出口を出ると魔怪人たちと戦っているアラージュさんたち姿を確認した。
そしてその周りを見るとボンテージ姿に鞭を携え、高い所に馬鹿笑いをしているジェリーンの姿!
「ジェリーン! あなたですのっ!?」
あたしは馬鹿笑いするシェリーンを指さしそう叫ぶ。
「あら、小娘? ん? ティアナ将軍までいますわね!?」
「うげっ! エルハイミだ!」
「あの時の小娘たちなのジェリーン?」
しかしジェリーン以外にも聞いた事のあるような声が左右からする。
あたしは声のした方を見るとメル教祖とユエナの地下神殿にいたフィジーとか言うジュメルの女幹部!?
「いけませんね、異教徒ですね?」
「あれがヨハネス様にたてつく『赤き悪魔』と『雷龍の魔女』ですか?」
「予定を狂わせてくれた張本人たちですね?」
そして更に他の場所から知らない声がかかってくる。
見れば金髪のジュリ教の司祭服を着た巨乳の美女や何故かメイド服のやはり巨乳美女、そして真っ黒な髪の巨乳美人までいる?
彼女ら六人は全員が高い所に立っていてあたしたちを取り囲むかのように見下ろしている。
「ふふふふっ、エルハイミさん本当にお久しぶりですねぇ。それにティアナ将軍も。少し見ない間に立派なレディーになられていますね?」
なっ!
こ、この声は!?
「ま、まさかですわ! ヨハネス神父ですの!!!?」
「ええ、覚えていてくれたんですね、とてもうれしいですよ、エルハイミさん」
そう言ってジェリーンの後ろからあのにこやかでイケメンな人あたりの良い笑顔のヨハネス神父が現れたのだった。
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