めいどかふぇ その5
「さて、あと数時間で君ともお別れだね」
スタッフルームに入った2人。どうやら他に人はいないようです。
ほら、こっちこっち。……もっとくっついて下さい、見つかっちゃうじゃないですか。
「そうですね。お世話になりました……まぁ、色々と」
「さっきの接客、十分及第点だ。これなら猫メイドとして毎日来てもらいたいくらいだよ、〝いつき〟ちゃん?」
「はは……喜べないです」
〝いつき〟というのが、ドッペル君のこの店における呼び名です。〝じゅじゅ〟でも女の子の名前として通用すると思いますけど、万が一誰かに気付かれるリスクを考えたんでしょうね。
「喜べないとか、そんな悲しい事を言わないでくれ。ほら、合言葉は~?」
「にゃん♪ にゃん♪」
「よろしい!」
(あああぁぁぁぁぁぁ、反射的に出ちまった……! 挫けるな、心を強く持て、俺!)
…………、……あぁ、はい。すみません、ちょっと考え事をしてました。
いえ、私が思っている以上に深刻だな、と。たった2日でここまでなるなんて、ドッペル君……いえ、樹々君には女装の才能があるのかもしれません。
莉央ちゃんの為にも、少なくともオリジナルの樹々君の方はその才能が花開く事がないよう祈りましょう、はい。
「それにしても、君も大変だね。ドッペルさんなんだって?」
「ええ、まぁ…………はぁっ!?」
あらあら、まさかまどかちゃんからそのワードを聞く事になるとは……なんか面白くなってきましたねっ!
楽しそう? だって私、無責任なストーカーさんですから、うふふっ!
「は、萩宮さん。今、なんて……?」
「あれ? 君は宇都宮樹々君のドッペルゲンガーじゃないのかい? 毬夢から聞いたが」
「……あんのオカルトバカ……」
あぁ、やっぱり毬夢ちゃんの仕業でしたか。気持ちは分かります。こんな面白い事、誰かに話して共有したいと思いますよね~。
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