めいどかふぇ その3
――――って感じだったみたいですね~。
で、ドッペル君は一つお隣の街にあるメイドカフェ、『にゃにゃにゃカフェ』で土日の2日だけ働く事になったのです。もちろん、メイドとして。
(いや、確かに言ったさ。女装してまで尾行する趣味はない、って)
お客さんの波がちょっと引いたからか、ドッペル君扮する〝いつき〟ちゃんが少しずつ店の奥に下がっていきます。
(だからって『お金を稼ぐ時なら女装OKなんだよね?』って結論は曲解だ極論だマジでふざけんな毬夢)
今日は日曜日。土曜日もがっつり一日中ネコメイドさんをやった事もあって、仕事の方は慣れて来たみたいですけど、心までは納得できていないようですね~。
いやまぁ、そこに納得出来ちゃったら身も心もメイド化してるって事なので、さすがにそれはどうかと思いますけど。
とは言え、ドッペル君はバイトを紹介してもらった立場です。話が違う、って投げ出して帰る選択肢もあったと思うんですけど、その辺りはやっぱり〝樹々君〟なんですよね。何ていうか、優しさを通り越して不器用です?
で、副店長である萩宮さん……さっきあなたを連れてきた〝まどか〟ちゃんですね。彼女を始めとした猫メイドさん達の手で服をひん剥かれた可哀想なドッペル君は、サイズピッタリのメイド服に袖を通し、ネコ耳付きのヘッドドレスを着け、今日も元気にメイドっているわけです。
〝樹々君〟の中性的な顔立ち、ブロンドの長髪ウィッグが合わさったそのお顔立ちは、引くくらい可愛いですね~。女の子としてはちょっとジェラシーです……はい? 私も十分可愛い? な、い、いきなり何を言ってるんですか~!?
もう、今ので好感度爆上がりですよ? 今さら後悔したって遅いですよ? ……だって事実だし、とか言わない! 私の顔が火傷しちゃうでしょう! そんな事より、今はドッペル君の女装の評価をしてるんです!
えっと、お顔立ちはまぁさっきも言ったように可愛いの一言です。で、女の子に見えるように胸にパッドも入れてるんでしょうね~。今のドッペル君が男の事だと分かる猛者は、そうそういないでしょう。
……何です、その同情的な優し~い視線は? 男の子の女装に負けてて可哀想とか言うつもりです? 今ので好感度ダダ下がりですよ? 未だかつてない好感度の乱高下ですよ、ぷんぷん。
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