第18話

取り敢えずは詳しい話は後程という事でそれぞれ客室に案内させた。


「面倒事を。」


溜息をつく。俺が言えん事もある。このままこの話は進められるだろう。だが、黙ったまま動かされる事はない。何故なら俺は国王だからだ。


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「メアリ宰相閣下。陛下がお呼びです。」


宰相の任を与えられて早3年。実力と功績を認められ扱いも大分改善されました。

陛下からは帯剣特権を与えられ陛下の御前でも私はレイピアを腰に下げられます。

それ程の扱いを得て十分どころか過分だと思うのですが。


「分かりました。すぐ向かいます。陛下は何処に?」


「陛下は私室にて待つと仰っておりました。」


陛下が私に付けた護衛。騎士剣を下げ、リボルバーを装備し魔導銃を装備する近衛兵が3名。それを引連れ王城の後宮へと向かう。


「陛下、臣メアリ参上しました。」


「ああ、入れ。護衛は部屋の前で待機しろ。」


その言葉に無言で脇に逸れると私を室内へと促す。呼び出された理由は一切不明だが、首を傾げつつ扉を開き中へと入る。


中では長机の向こうの気品溢れる様な椅子に座り硝子製のグラスが置かれ、そこに琥珀色の高級酒が注がれる。


「陛下?」


「メアリに話があってな。俺の後継者問題についてだ。」


「はっ、それならば重臣を集めての方が宜しいかと思われますが。」


椅子の横に立て掛けられた陛下専用の長剣。腰に下げられて居ないと言うことは信用されてはいる。誠に有難いことだと思う。


「似合わんな。単刀直入に言おう。俺はお前に妻になって欲しい。」


「御冗談を。」


「女にその様な冗談を言っても良いとは教育されていない。本気だ。」


「…陛下、私は傷物です。言わば中古です。」


「気にするものか。言わせておけ。」


気付けば陛下は緊張なされている様だった。焦りが顕で人間臭かった。完璧超人だと思っていたがそうでも無いという事でしょう。


正直に言って私は陛下の兄君は好きではなかった。傲慢で、嫌味な人だった。大人しくそして大人だった陛下はいつも泣く私を慰めてくれた。恋というものを初めてしたのだった。だが、父上が決めた婚約。貴族令嬢の身では到底断れるものでは無いと幼い私は思い込んだ。今は分かる。あの時言えば父は陛下に話を持って言ってくれただろうと。

だけど私の体は処女では無く、何度も勇者に抱かれた身。陛下に相応しくない。


「陛下、私は…」


陛下は私をきつく抱き締めた。その先の私が口にしようとした言葉を悟って、口に出させないために。


「気にするなとは言えない。気にするのだろう、だが俺はお前が好きだ。王としてこれから何人かの妻は増えるだろう。だから最初にメアリに想いを伝えたかったのだ。」


涙が流れる。ただ流れる。幼子の様に泣きじゃくる私を幼き頃の様に優しく背中を撫で泣き止むまで、私を抱き締め続けた。


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「陛下も隅に置けませんね。」


「どうしたルキア。」


泣き疲れた彼女は寝室のベッドに寝かし護衛の近衛兵を入れてある。俺は彼女が好きだ。だからこそ、最初に想いを伝えたいと思った。前世的かもしれないがそれは俺にとって譲れない物であった。


「いえ、私も陛下をお慕いしているのですよ。初めて出会った時から。」


「そうだな。気付いている。」


「何故ですか?私ではダメなのでしょうか。」


「駄目という訳では無い。ただ、お前は後だルキア。」


政治的な問題だからな。

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