ホルマリン漬けのカミサマ

匿名希望

第1話 君は「カミサマ」って…信じる?

僕の住む小さな田舎町、黒渦町に

【ソレ】がやって来たのは、 本当に

突然だった。


「私、神様なの」

そう嘯く彼女は、神を名乗るには

随分と幼く、 かと言って神の使いと

名乗るには、 幾分大人びすぎていた。


『本当に?』

僕が問うと、彼女はにっこり笑って

こう言った。

「ううん、私は神様じゃない。

私は使いに過ぎないの」

そして、こうも言った。

「ねぇ、キミ。連れてってあげよっか。

私の「カミサマ」の所」


『いいの?』


「うん。キミの名前は?」


『僕は、ハルカ』


「ハルカ?私とそっくり!

私は、ハルマっていうの」


『ハルマ…ちゃん』


「ハルマでいいよ。行こう」


僕はその誘いに乗り、彼女に

手を引かれるまま、入ってはいけないと

言われた森の奥へ奥へと導かれた。


研究所のような、全体的に青白い施設。

その最深部で僕が見たものは…。


ホルマリン漬けにされ、

ワンピースをまとった

真っ白い少女の姿であった。


「これが、私の「カミサマ」だよ。

名前は、エリザベス様」


僕は、その容器に手を

伸ばした。

強化ガラスに指が触れる。

「彼女」は、僅かに瞳を開いた。


〔……あ…なた…誰?〕


「「カミサマ」、この子は

私が連れてきたの」


僕と「彼女達」の奇妙な

一夏は、始まりを告げた。

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