夕暮れ

「うう、今日も寒いね。どこかで温かいものでも飲もうよ。このままじゃ死んじゃうよ」

夕暮れの正門で、彼女は手をこすりながら言った。

「じゃあ、うち来たら」

「え、いいの」

さっきまでの声が嘘のように、イキイキとした声で言う。

「うん。私の家、ここから近いから」

「えへへ。悪いね」

「さ、死んじゃう前に行こ」

そう言って、彼女と歩きはじめる。

そして何故か、彼女は私の腕に抱きついてきた。

「あなたの腕、ぽっかぽか」

すりすりと頬で撫でる彼女を、振り払う気にはなれなかった。

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