新聞紙

サラダとパンとコーヒーと新聞紙。

朝のテーブルに、それらが並んでいた。

少しして、彼がやって来る。

「おはよう」

それだけ言って椅子に座り、新聞を広げてコーヒーをすする。

結婚三年目ともなると、こうなってしまうのはやむをえない。

「今日は帰りが遅くなるから、なにか一人で食べておいて」

「うん」

彼に、私の声が聴こえたかは分からない。

「あなたはどうなの」

「僕は早いから、君の分を作って待ってるよ」

「先に食べたらいいのに。いつ帰ってくるか分からないから」

「……分かった。そうする」

彼の声が微かに、寂しそうだった。

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