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覚醒者会議とやらに参加した、ほぼ唯一の収穫なのだが……残る三匹の魔物について、詳細が判った。
魔物その壱。
通称:人喰いの林。生息地:県記念・
魔物その弐。
通称:巨人の魔法使い。生息地:佐東工業団地全域。外見こそ脳筋なジャイアントそのものだが、七里レベルの戦略級攻撃魔法を多数体得している模様。
魔物その参。
通称:テケテケアーマー。生息地:アウトレットモール
いずれも、最初に発生した場所を拠点として、気紛れに街に繰り出しては人を殺して回っているらしい。
それで。
今俺は、同期にして同じ"あぶれ者組"になってしまった男・
意外な事に、奴の方から、共に魔物を討伐しないかと誘って来たのだ。現金な奴だ。
正義の味方になぞなるつもりの無い俺は、極力波風が立たない低姿勢でお断りしたのだが……浦霧の奴、一人になってでも"人喰いの林"をぶっ殺しに行くと息巻いていた。
それを知ってしまった以上、俺もついて行かざるを得なかった。こうなれば、死なない程度に痛い目を見て、大人しくなれば良いのでは無かろうか。
何かここ数日、常に魔法で恐怖を麻痺させているので、物の考え方が非常にロジカルになっている。あまり、良い事では無いのだろうか。
それはさておき。
浦霧の奴が"人喰いの林"に何の恨みがあるって言うかは知らないが、大方、こいつが初めに遭遇した魔物なのだろう。その交戦に際して何らかの犠牲を出したのか、何なのか。俺としては、そこは関係無いのでノータッチ。
それより気になるのが、こいつの"持ち物"の方だ。こいつが手にしているのは、チェーンソーだ。メーカーは、電動工具に定評のあるマキタか。例に漏れず、充電式のようだ。
十中八九、武器のつもりなのだろうが……果たして魔物相手に効果があるのか、疑わしいと思う。
前に話した通り、覚醒者は無意識下の魔法的思考によって身体能力を激増させている。ただのバールで、大型クレーンとも渡り合える程だ。
そんな
今更、こんなペラッペラな刀身で奴らと対抗できる
百歩譲って、チェーンソーを得物に選定する事自体は良いとしよう。だが、単純な殺傷力を求めるなら、動力がガソリンエンジンの物を使うべきだろうに。
この街がRPGみたいな世界に成り下がったからと言って、チェーンソーに即死効果が付くとでも期待しているのか? だとしたら、とんでもなくおめでたい奴だ。
馬鹿な味方ほど、度し難いものも無い。果たして、俺一人の力で守り切れるものかどうか……。非常に心配だ。
それと、悪いニュースがもう一つある。
かなり後ろの方から七里の奴がオドオドとついて来ているのだ。浦霧がわざわざ声を掛けて、こいつをパーティに入れくさったのだが、俺と目が合うなり、その肥満体を畏縮させて、こんな遠巻きの態度になっていた。俺が何をしたって言うんだ。
見る度に苛つく女だ。自分の立ち振舞いすらも自分で決められないのか。
魔物と遭遇した時、こいつも守り切らねばならないと思うと、非常に腹立たしい。
そうこうしているうちに、池尼迎賓館の正面広場が見えて来た。
ここからでもわかる。外周を囲う雑木林は既に
そして、わけわからん毒素だか瘴気だかの、どす黒い靄が、あちこちに噴霧されているのを。
その光景を見て怖気づいてくれれば、まだ賢いと思えたのだが……。
浦霧は当然の様にチェーンソーを起動。七里も、スマホを取り出す。
「えっと……"火"とは、物体の燃焼、あるいは酸化に伴って発生する現象であり、気体がプラズマを伴ってイオン化した状態を指す」
馬鹿野郎、そんな所から検索しないと、炎もまともに放てないのか!
「よ、よし、行くぞ、嵯峨野!」
浦霧は浦霧で、愚直に突っ込んで行きやがる!
マジでこいつら何なんだ!?
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