第197話 電撃新レシピ


 というわけで、いつものように新しいレシピの確認だ。



 とは言っても今回は罠レシピが3つだけ。

 少し寂しい気もするが……。

 まあ仕方が無い。



 見ていこう。




[合成レシピ(罠・兵器)]


・鉄鉱石×20 + 木材×10 + 電気鼠の肝×1 = 電気柵×100 NEW!


・竹×1 + 石×1 + 金色鹿の角×1 = 鹿威し×10 NEW!


・エンダール豆×3 + 調味塩×1 = 枝豆(塩茹で)×25 NEW!




 今回もどこか一癖も二癖もありそうな予感がする……。



 しかも、罠レシピに枝豆……って、お前……料理レシピじゃないんかい!

 これは、熱々おでんと同じ方式か?



 取り敢えず、一個ずつ見ていこう。




[電気柵]

 害獣から農地を守る為の柵。鉄線に十万ボルトの電流が流れており、触れた者を黒焦げにする。もちろん、農地以外でも使用OK。自宅の垣根や、誰も入って欲しくない秘密の部屋の防衛、自室で一人にしておいて欲しい時に最適。電流爆破デスマッチなどにもオススメです。




 デスマッチとかしないから!



 でも、これは城の周りとかに張り巡らせておけば防衛力のアップに繋がりそうだな。

 誤って触れると死にそうだけど……。



 お次は……。




[鹿威し]

 田畑を荒らす害獣を音響によって追い払う装置。水力を必要とせず、自動的に大音響を発生させることが可能。その音は対象の鼓膜を破るだけでなく、音波によって行動を制限させる効果がある。庭などに十個程度設置すると、とても風流です♪



 全然、風流じゃないよ!?

 あと、十個もいらないよ!?



 相変わらず恐ろしい罠ばかりだな……。



 で、最後は問題の……。




[枝豆]

 美味しい塩茹での枝豆。ビールのおつまみや、小腹が空いた時のちょっとした軽食にオススメ。但し、サヤを指で押すと豆が飛び出るので注意。




 サヤを指で押すと豆が飛び出るって……当たり前じゃん。

 って、よく見たら続きがあるぞ……なになに……。




 ――飛び出した豆は銃弾の威力に匹敵するので注意しましょう。他の似た豆と混ぜてロシアン枝豆とかやると盛り上がります。




 こえぇぇっ!

 そんなんで盛り上がりたくないよ!



 これは確かに罠か武器だ。

 でも、説明の通りならば、サヤを押しさえしなければ安全で美味しく食べられるのだろうか?



 試す勇気はないけど。



 しかし、罠としては使えるかもしれないな。



 取り敢えず、この三つは作り置きしておいても損は無さそうだ。



 これらの合成に必要な素材で俺が持っていないものは……、



 電気鼠の肝、金色鹿の角、エンダール豆の三つか。



 電気鼠って……なんかアレを思い出しちゃうな。可愛いやつだったら肝とか取るの可哀想になっちゃうかも。



 金色鹿って……まさか鹿威し自体に鹿の素材を使うとは思わなかった。

 やっぱ名前の通り金色なんだろうか……。



 エンダール豆ってのは名前からじゃ、どんな豆なのか想像が付かない。枝豆になるくらいなんだから見た目はそれに似てると思われる。



 差し当たってはこの三つの素材を探すことにしよう。



 とは言っても闇雲に探すのも大変なので、誰かに素材の情報を聞きたいところ。



 こういうことはやっぱり、魔団参謀であるアイルが頼りになるかなあ?



 そう思って、彼女を呼ぼうとした時だった。



「チュチュ……」

「?」



 部屋に隅で小さな鳴き声が上がった。

 そこに目を向けると……。



「……!?」



 黄色い毛皮で覆われた小動物が円らな瞳で俺の方を見ていた。

 大きさはジャンガリアンハムスターくらい。



 しかも、その鼠、体の周りにビリビリと電気のようなものが放電しているのが窺えた。



 あの風体……どう見ても電気鼠じゃね?

 まさか、こんな身近な場所に潜んでいたとは……。



 それで電気鼠じゃないって言われたら、逆にびっくりだ。

 ってか、予想に反して見た目、可愛すぎ!



 思わず見逃したくなっちゃうけど……。

 でも、必要な素材なんだ。申し訳ないが成仏してくれ。



 俺は右手を強欲の牙グリーディファングに変え、早速捕獲の体勢を取るのだった。



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